ホルンの出番です83  ヤナーチェック「青春」 | 翡翠の千夜千曲

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            Mladi (Youth) (1924) - Janacek

 

 

  ヤナーチェックは「青春」(チェコ語: Mládí)などというタイトルをつけたのでしょうか。これは、ヤナーチェックが晩年に差し掛かって、若い頃の出来事を色々思い浮かべるようになっていたと思われます。レオシュ・ヤナーチェクが1924年に作曲した木管六重奏曲に「青春」という題をつけたのは、単なる郷愁ではなく若い頃に過ごした場所や出会った人々の中にある音楽の姿ではなかったかと思います。

  「青春」はフルート(ピッコロ持ち替えあり)、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、バスクラリネットのための6重奏の作品です。ヤナーチェクの室内楽曲の相当数が晩年になって創られており、気分的にも充実して活力に満ちていたのだと思います。

 

 管楽アンサンブルの名人芸的な用法の模範的な作品であるが、それだけにとどまらず、ヤナーチェクの晩年 様式に特徴的な、興味深い楽想も散見される。
 木管六重奏曲を作曲しようという最初の刺戟を受けたのは、1923年8月に国際現代音楽協会ザルツブルク大会に参加中のことであった。アルベール・ルーセルの《木管五重奏とピアノのための嬉遊曲》がこの会場で上演されており、この作品がヤナーチェクに、似たような作品を創ってみようとの興味をいざなった可能性がある。もう一つの刺戟となったのは、1924年5月に、旧ブルノ聖アウグスチノ修道会時代の少年時代を回顧して、ピッコロと大太鼓、チューブラーベルズ(もしくはピアノ)のために作曲された《青い服の少年たちの行進》であった。あるいはすでに、より大掛かりな作品を書こうと決心していたのかもしれない。  ウィキ

  かなり、固執した感じに反復される曲想とエピソードとの対比という構成は、それ以前にもよく見られる傾向ですが、ここでもロンド形式が取られていて、多少意地になっているのか、或は祖国の音楽原語を固めようとするかのように思えます。第2楽章は変奏曲になっています。これも、地方色を意識するのか全楽章とも旋法的で、調号は使われていません。管楽器のせいもありますが、フラットを多く用いた調性へのこだわりが目立ちます。この曲、気をつけないとアンサンブルが壊れるだけに留まらず、調子っぱずれに聞こえ音楽的な価値さえ失ってしまいます。

 
<曲の構成>
1.アレグロ 2.アンダンテ・ソステヌート 3.ヴィヴァーチェ 4.アレグロ・アニマート      

 

 

ヤナーチェク: 六重奏曲「青春」 他 (Winds & Strings - Spohr, Ibert, Janacek, Widmann / Lieberknecht, Leleux, Manz, Neunecker, Jensen, Batiashvili, Roberts, Arp, Posch, Donderer, Bouskova, Brill, C.Tetzlaff, Hecker) Various (アーティスト, 演奏), シュポーア (作曲), イベール (作曲), & 2 その他