ホルンの出番です㉜ 4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックヘ長調作品86 | 翡翠の千夜千曲

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   4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックヘ長調作品86は、ロベルト・シューマンが1849年に作曲した協奏曲です。
  バッハの「4台のハープシコードとオーケストラのための協奏曲」(ヴィヴァルディ原曲)を下敷きにしたのではないかという指摘もありますが、そんなことはどうでもいいことです。物知り顔でいうほどの内容でもありません。

  明るく生き生きしていること、オーケストレーションも手が入ることは余りなく、ほぼ原曲のまま演奏されます。ただし、たびたび指摘されることですが、第2楽章、独奏群の1番ホルンが長い旋律を奏でるのを、独奏群の2番ホルンが1小節遅れで模倣する部分があるが、スコアではこの模倣する2番ホルンにアルトトロンボーンがユニゾンで重なっていることから、このアルトトロンボーンはしばしば割愛されるのですが、私はカットなしの演奏も聞きましたが、本人が書いたように演奏する方がいいです。おそらくは、演奏会場の状況とか、演奏者の技量とかを加減したことだって考えられます。本人の作品にメスを入れるなどもってのほか、余計なお世話のような気がします。

  難曲と言う割には良く演奏されます。この曲自体が魅力的なことを示しています。見た目にも効果的で、4本の動きの演奏効果があること、曲調が明るいこと、そのほかオーケストラのホルン・セクションでそのまま独奏群が組めること、などが背景にあると指摘されています。独奏群としては、客演奏者を含めるか、あるいは全員客演奏者で結成する場合など様々です。

  色々難癖をつける人がいますが、この曲は原曲のまま、演奏者も聴衆も楽しんでいい曲です。無駄な抵抗はやめろ!
第1楽章 生き生きと ヘ長調。一旦終止し、そのまま次の楽章に続く。(いわゆるアタッカです)
第2楽章 ロマンツェ。かなりゆっくりと、しかしひきずらずに ニ短調。楽章最後は、緩徐楽章の旋律が続く中、トランペットが次の楽章の主題を予告し、次第に曲想を変えながら、そのまま次の楽章に入ります。(アタッカ)
第3楽章 とても生き生きと ヘ長調。シューマン自身の交響曲第4番最終楽章を彷彿とさせる、リズミックで溌剌として終えます。

 

    

        Schumann Konzertstück für 4 Hörner YT

Schumann Konzertstück für 4 Hörner und Orchester. Live Konzert, Philharmonie Köln, 17.04.2015 Paul van Zelm, Ludwig Rast, Rainer Jurkiewickz, Joachim Pöltl. WDR Sinfonie Orchester, Heinz Holliger

 

     

     Schumann: Concert Piece for four horns / Rattle · Berliner Philharmoniker

Robert Schumann: Concert Piece for four horns in F major / Radek Baborak, horn · Stefan Dohr, horn · Stefan de Leval Jezierski, horn · Sarah Willis, horn · Sir Simon Rattle, conductor · Berliner

  この組み合わせは、反則だ。日本でやったら絶対聴きに行く。

 

 

 

シューマン:交響曲第4番 op.120 (1951) ほか

パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマー・フィル RCA