で、「あるある」の件で取材がきた(笑)。どこからって? 『赤旗』から(続笑)。
以前から面識のあった「しんぶん赤旗・日曜版」の記者さんから、問題が表面化した直後の週明け早々、メールで「テレビ番組制作の下請け構造に一因があるのではないか?」といった趣旨からコメント依頼のメールが届いたのだ。ちょうど今発売中の『GALAC』2月号に私が書いた記事(「制作会社40年間の死闘」)を読んでいたところにこういう問題が持ち上がったということで、さっそく問い合わせてきたらしい。翌日の昼に『赤旗』編集部に電話し、30分ほど記者さんから電話ごしにあれこれ質問を受けた。
そんなわけで、本日28日(日)発売の同紙に岩本のコメントが載ります。もし御目に留まるようでしたら、是非御笑覧のほどを。それにしても、記者さんが事前に掲載コメント確認用に送ってくれたゲラを見たら、なみいる放送業界の大先輩方に混じって岩本の発言が何とも肩身が狭そうに収められていたのに思わず恐縮してしまった次第。
ところで、上記の「テレビ番組制作の下請け構造に一因があるのではないか?」という質問についてなのだが、実は私はその記者さんとの電話取材の際、「現時点でそこに問題の原因を全部帰結させることはできないんじゃないでしょうか」と述べた(説明がややこしくなるので記事にはならないだろうと思いながら話したし、実際にもコメントとして載らなかったが)。
もちろん、上記『GALAC』の拙稿を含む特集の中でも「下請け構造」と呼ばれる実態が孕む問題点については指摘されているし、それらが例えば今回の「あるある」におけるケースのような事件を引き起こす可能性は、私も否定しない。というか、報道を通してしか知らない範囲であれこれ想像するに、何かそれが原因だったんじゃないかなあ……という気が正直しなかったわけではない。
にも拘らず、なんでそんな捻くれたような答え方をしたのかというと、たぶん「テレビ業界の下請け構造が問題だ」と納得してしまった途端に、みんながそれ以上のことを考えなくなるだろうと思ったからだ。
「『捏造したのが問題だ』とかってみなさんおっしゃいますけど」と、私は電話口で記者さんに言った。「じゃあ『下請け構造』がない業界では『捏造』が生じないのかといったら、全然そんなことはないでしょう? だって、一昨年の総選挙の時にも朝日新聞の長野の記者さんが田中康夫のコメントを勝手に『捏造した』なんて話があったじゃないですか。古くは『サンゴ事件』ってのもあったし、ああいうのは『下請け構造』だから出てきた話でしたっけ?」
「確かにそうですよねえ」と、『赤旗』の記者さんは受話器の向こうで頷いているような様子だったが、これが当の朝日とか読売の記者が相手だったら一体どんな反応が返ってきたかなと思うところだ(まあ、『赤旗』ゆえ「これは大手のテレビ局による下請け業者への搾取が根底にある!」という問題認識が先にきていたのかどうかまでは知らないけど)。
これはメディア業界ネタをフリーランスという立場で取材・執筆してきた経験から思うことなのだが、新聞関係者には「自社が出すメディアに載せる中身(記事や番組)を、自社の社員以外の人間の手に委ねる」ということへの嫌悪感が強いようだ。なにしろ記者から各地の支局から印刷部門から販売部門まで、一通り自社系列でワンセット抱えないと気がすまないような業態で長年やってきたせいもあるのだろうが、そうした生い立ちから来る生理的な嫌悪感が、「外注」が当たり前の業態であるテレビ業界や出版業界(それこそ私のようなフリーランス「自社商品」であるはずの記事を書かせる世界)への一種「差別的」な視線につながっているところって絶対あるよなあ……と常々思っていたのだ。
そのうえで、これも電話取材の際には強調したことなのだが「高度に分業化が進んだ現場」においては、新聞社だろうがNHKだろうが民放だろうが、はたまた一般企業(それこそ不二家だろうがアパだろうがヒューザーだろうが日本一になった日本ハムだろうが潰れた雪印食品だろうが自民党だろうが創価学会だろうが日本共産党)だろうが、こういうことはいずれ絶対に起こりうるのだ、と。だから問題の核心は、どんな組織であろうが不始末を未然に防いだり事後の対応もきちんとできるような「品質管理」の体制を、普段からいかに構築しておくかということなんじゃないかという気がするのだけれども。
んで、以上を踏まえて言うならば、今回の件では「あるある」関係者たちが脇の甘さをつつかれたという側面はあるにしても、「ちょっと可哀想だよなあ」などと私は思ってしまったりもする。
だって「下請け構造」云々を言うんであれば、ゴールデンタイムで全国放映され、なおかつ日本テレワークという制作会社の中では老舗大手の企業が手がけていた番組などは、低視聴率かつ低予算で毎日(だよ? 週1回じゃないよ?)放送されるワイドショーとか「人材育成のためには収益度外視」が暗黙の了解である深夜番組あたりに比べればはるかに恵まれていたであろうにと思うからだ。
っていうか、そんなに「捏造」が問題だっていうなら、今言ったような深夜番組あたりで、そういうことが日常的に絶対起りえないとでも思っているのか? という話だろう。むろん、低視聴率が当たり前な深夜番組で少々のやらせや捏造が発覚したところで新聞や雑誌も大きく記事にしたりはしない。「そんなテレビごときのいい加減な連中のことで……」と黙殺されるのが関の山だろう。ところが、そんな「我こそがジャーナリズムの王道」といったプライドにふんぞりかえっている連中が、自分は見下しているにも関わらず大衆からは自分を遥かに上回るリスペクトを獲得している人気テレビ番組において、こうした不祥事が持ち上がるや否や、プライドとコンプレックスの入り混じった大キャンペーン(それこそ普段から非の打ちどころのないクラスの優等生が、時たま失敗して先生から怒られるのを見て大喜びするガキんちょのような)に打って出ているんではないかな……とも思ってしまう。ま、それである種の「ガス抜き」になるのであれば「それもまたよし」ってことなのかな?
だから背景を云々するんであれば、むしろ「何でこの件が『週刊朝日』で取り上げられるにいたったのか?」というところのほうだろう。まあ、「あるある」は人気番組だったし、それでなくても世間からのチェックが厳しかったからだ……という見方もあるだろうけど、むしろ「陰謀史観」が好きな人はこういう時こそ別の「邪推」をしなきゃ(笑)。業界関係者の中でも既に「関西テレビ潰しを狙ったフジテレビの陰謀では?」という見方もあるわけだし。
ようするに、この「あるある」問題をめぐって「建設的な議論をしましょう」という側も、「いい加減でもいいから、いろんなことを言って楽しみたい」という側も、現状では「お前らどっちもハンパなんだよボケ!」と言われても仕方がない状況なんじゃないか――などとぼつぼつ考えながら過ごす今日この頃なのでした。妄言多謝にてすみません。ではでは!
以前から面識のあった「しんぶん赤旗・日曜版」の記者さんから、問題が表面化した直後の週明け早々、メールで「テレビ番組制作の下請け構造に一因があるのではないか?」といった趣旨からコメント依頼のメールが届いたのだ。ちょうど今発売中の『GALAC』2月号に私が書いた記事(「制作会社40年間の死闘」)を読んでいたところにこういう問題が持ち上がったということで、さっそく問い合わせてきたらしい。翌日の昼に『赤旗』編集部に電話し、30分ほど記者さんから電話ごしにあれこれ質問を受けた。
そんなわけで、本日28日(日)発売の同紙に岩本のコメントが載ります。もし御目に留まるようでしたら、是非御笑覧のほどを。それにしても、記者さんが事前に掲載コメント確認用に送ってくれたゲラを見たら、なみいる放送業界の大先輩方に混じって岩本の発言が何とも肩身が狭そうに収められていたのに思わず恐縮してしまった次第。
ところで、上記の「テレビ番組制作の下請け構造に一因があるのではないか?」という質問についてなのだが、実は私はその記者さんとの電話取材の際、「現時点でそこに問題の原因を全部帰結させることはできないんじゃないでしょうか」と述べた(説明がややこしくなるので記事にはならないだろうと思いながら話したし、実際にもコメントとして載らなかったが)。
もちろん、上記『GALAC』の拙稿を含む特集の中でも「下請け構造」と呼ばれる実態が孕む問題点については指摘されているし、それらが例えば今回の「あるある」におけるケースのような事件を引き起こす可能性は、私も否定しない。というか、報道を通してしか知らない範囲であれこれ想像するに、何かそれが原因だったんじゃないかなあ……という気が正直しなかったわけではない。
にも拘らず、なんでそんな捻くれたような答え方をしたのかというと、たぶん「テレビ業界の下請け構造が問題だ」と納得してしまった途端に、みんながそれ以上のことを考えなくなるだろうと思ったからだ。
「『捏造したのが問題だ』とかってみなさんおっしゃいますけど」と、私は電話口で記者さんに言った。「じゃあ『下請け構造』がない業界では『捏造』が生じないのかといったら、全然そんなことはないでしょう? だって、一昨年の総選挙の時にも朝日新聞の長野の記者さんが田中康夫のコメントを勝手に『捏造した』なんて話があったじゃないですか。古くは『サンゴ事件』ってのもあったし、ああいうのは『下請け構造』だから出てきた話でしたっけ?」
「確かにそうですよねえ」と、『赤旗』の記者さんは受話器の向こうで頷いているような様子だったが、これが当の朝日とか読売の記者が相手だったら一体どんな反応が返ってきたかなと思うところだ(まあ、『赤旗』ゆえ「これは大手のテレビ局による下請け業者への搾取が根底にある!」という問題認識が先にきていたのかどうかまでは知らないけど)。
これはメディア業界ネタをフリーランスという立場で取材・執筆してきた経験から思うことなのだが、新聞関係者には「自社が出すメディアに載せる中身(記事や番組)を、自社の社員以外の人間の手に委ねる」ということへの嫌悪感が強いようだ。なにしろ記者から各地の支局から印刷部門から販売部門まで、一通り自社系列でワンセット抱えないと気がすまないような業態で長年やってきたせいもあるのだろうが、そうした生い立ちから来る生理的な嫌悪感が、「外注」が当たり前の業態であるテレビ業界や出版業界(それこそ私のようなフリーランス「自社商品」であるはずの記事を書かせる世界)への一種「差別的」な視線につながっているところって絶対あるよなあ……と常々思っていたのだ。
そのうえで、これも電話取材の際には強調したことなのだが「高度に分業化が進んだ現場」においては、新聞社だろうがNHKだろうが民放だろうが、はたまた一般企業(それこそ不二家だろうがアパだろうがヒューザーだろうが日本一になった日本ハムだろうが潰れた雪印食品だろうが自民党だろうが創価学会だろうが日本共産党)だろうが、こういうことはいずれ絶対に起こりうるのだ、と。だから問題の核心は、どんな組織であろうが不始末を未然に防いだり事後の対応もきちんとできるような「品質管理」の体制を、普段からいかに構築しておくかということなんじゃないかという気がするのだけれども。
んで、以上を踏まえて言うならば、今回の件では「あるある」関係者たちが脇の甘さをつつかれたという側面はあるにしても、「ちょっと可哀想だよなあ」などと私は思ってしまったりもする。
だって「下請け構造」云々を言うんであれば、ゴールデンタイムで全国放映され、なおかつ日本テレワークという制作会社の中では老舗大手の企業が手がけていた番組などは、低視聴率かつ低予算で毎日(だよ? 週1回じゃないよ?)放送されるワイドショーとか「人材育成のためには収益度外視」が暗黙の了解である深夜番組あたりに比べればはるかに恵まれていたであろうにと思うからだ。
っていうか、そんなに「捏造」が問題だっていうなら、今言ったような深夜番組あたりで、そういうことが日常的に絶対起りえないとでも思っているのか? という話だろう。むろん、低視聴率が当たり前な深夜番組で少々のやらせや捏造が発覚したところで新聞や雑誌も大きく記事にしたりはしない。「そんなテレビごときのいい加減な連中のことで……」と黙殺されるのが関の山だろう。ところが、そんな「我こそがジャーナリズムの王道」といったプライドにふんぞりかえっている連中が、自分は見下しているにも関わらず大衆からは自分を遥かに上回るリスペクトを獲得している人気テレビ番組において、こうした不祥事が持ち上がるや否や、プライドとコンプレックスの入り混じった大キャンペーン(それこそ普段から非の打ちどころのないクラスの優等生が、時たま失敗して先生から怒られるのを見て大喜びするガキんちょのような)に打って出ているんではないかな……とも思ってしまう。ま、それである種の「ガス抜き」になるのであれば「それもまたよし」ってことなのかな?
だから背景を云々するんであれば、むしろ「何でこの件が『週刊朝日』で取り上げられるにいたったのか?」というところのほうだろう。まあ、「あるある」は人気番組だったし、それでなくても世間からのチェックが厳しかったからだ……という見方もあるだろうけど、むしろ「陰謀史観」が好きな人はこういう時こそ別の「邪推」をしなきゃ(笑)。業界関係者の中でも既に「関西テレビ潰しを狙ったフジテレビの陰謀では?」という見方もあるわけだし。
ようするに、この「あるある」問題をめぐって「建設的な議論をしましょう」という側も、「いい加減でもいいから、いろんなことを言って楽しみたい」という側も、現状では「お前らどっちもハンパなんだよボケ!」と言われても仕方がない状況なんじゃないか――などとぼつぼつ考えながら過ごす今日この頃なのでした。妄言多謝にてすみません。ではでは!