いつからこんなボヤけた味が平気になったんだろう。


ボヤけてるのに確実に私の頭に浸透していく。


まだ行ける、まだ行けるって思ってたらいつの間にか限界値スレスレのトコまできていた。



これ以上飲んだら私壊れちゃう。


所謂崖っぷち。



熱唱してる後ろのテーブルの若いオニイチャンのせいで、貴方の声がよく聞こえない。


無害そうな返事を選んで顔色を伺っている。



気づいてるのかどうなのか貴方は同じトーンで話し続けるばかり。





やっと曲が終わった。


顔を寄せて囁く。



「私これ以上飲めない。連れて行ってよ」



一瞬目を見張ってからすぐに赤面する。



かわいい。




今日は何して遊ぼうかしら。





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玄関の扉を開けて驚いた。


昨日私は電話で、

「毎日畑仕事してるおばちゃんよりも日焼けして黒くなっちゃった」

って言ったよね。


君の方が遥かに黒くなってた。


髪だって伸び放題で髭も伸びてて、私よりもずっと年を取ってるように見える。


右肘の内側に目がいく。

みみず腫みたいになってる。


「これ…。」


「あ、火傷しちゃったんです。」



そんな風に笑わないでよ。



「僕もね、貴女と同じで左肩に傷痕出来ちゃいそうです。」



袖で隠れてる其処に思わず手を伸ばそうとした。


けれどすぐに手首を掴まれた。


「触っちゃダメです。ヒリヒリしてまだ痛むんです。」




ねぇ君ぐらいの歳の子は大した心配もなく、毎日しょうもない話で笑いながら暮らしてるんだよ。




君を見てると涙が出てくるんだ。




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いつの間にか、私の中の優しさは苛立ちに置き換わっていた。


疲れて擦りきれて、


人の仕事で一喜一憂して、人の反応でも然り。


受け入れてもらえないのかと悲しくなって、


低いレベルに合わせようかとも思った。



危ない危ない。



私は一体何のために働いているのか。


自分のためではないのか。


たとえ上司や同僚に疎ましくされようが、向こうが質の悪い仕事をしていようが、私は私ではないか。



その事を、一体誰が侵せるというのだろうか。


ただ、自分のために自分に誇れる仕事を。


何年経ったって輝いていられるように。






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