ポー



32年間続いているエドガー・アラン・ポーの墓の謎-----

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世紀前半を代表するアメリカの詩人、作家、批評家で、探偵小説の元祖ともいわれるエドガー・アラン・ポー。『モルグ街の殺人』、『アッシャー家の崩壊』、『黒猫』などの名作で知られている。そのポーの墓は、メリーランド州ボルチモアのウェイスミンスター・チャーチ墓所にある。


彼の誕生日の晩になると、必ず3輪のバラとフランス産ブランディーが半分ほど入ったボトルを捧げていく者がいるのだが、それが32年間も続けられているのに、いまだにこの人間の正体はわからない。
現在は博物館になっている、ボルチモアのポーの家の管理者で、ポーの研究かでもあるジェフ・ジェロームは、ずっと以前から、この不思議な供物に気づいていた。そこで数年来、ポーの誕生日の晩には墓所に張り込んで、謎の人物を突き止めようとしている。が、いつもちょっと気をゆるめた瞬間に、供物だけが残されていて、奇妙な贈り主は姿を消してしまう。


今年の1月も、彼はひそかに見張りを続けていた。そしてほんのわずかの時間だけそこを離れたあいだに、ちゃんと3輪のバラとブランディーのボトルが捧げられ、またも贈り主は正体を見せなかった。


ポーは1809年に生まれ、1849年に死んだ。アル中だったことも有名で、供物はいかにも彼にふさわしいのだが、なぜ、バラが3輪でブランディーが半分なのかわからない。贈り主が幽霊ではないかという説まで出てきているけど、まさか!

(
POPEYE1982510日号より)