僕がよく利用している駅前の駐輪場には、決まって制服を着た用務員のおじさんがいる。


ゲートの前で一時利用券を受け取り、奥へ進むと、駐輪場の暗がりに待ってましたと言わんばかりに用務員のおじさんがこちらを見ている。


駅前の駐輪場の自転車を停める装置は二段構えになっていて非常に複雑であり、ここに引っ越してきてすぐ利用した時はおじさんたちに助けられたものだった。もちろん、デパートやテーマパークのスタッフのような明快さや丁寧さは全くない。なぜこんなこともできないのだと怒られている気分になるくらい、無骨に補助をする人もいる。


最近はもう慣れたもので、混んだなか上段の空いた装置を見つけ、自転車を停めることも容易いことだ。今日も自転車を停め鍵をかけて出口に向かうと、おじさんがいつものように、


「いってらっしゃい」


と声をかけてくる。ふと僕は今までこの声にどんなふうに対応していただろうか…とぼうっと思い返した。確か緊張して行ってきますと返したことが一回、他は会釈するなり、言葉に結実しない音声を発するなり、うまくいった覚えがないことに気がついた。今さっきもただ会釈をして出てきたばかりだ。


僕はこういう、形式が求められない、あるいは形式に則らないやりとりが苦手なんだろう。ふつうの人ならもっと気楽にどうも〜とかなんとか返せるのかもしれない。


そんなことを考えながら、電車に揺られて曇り空の東京に向かう。




久々の投稿になりました。

本当はあいち2022ボランティアの続きを書きたかったのですが、毎度活動後は疲弊しきって家に着いてすぐ寝てしまうような生活を続けていたので、そのチャンスを失ってしばらく期間が空いてしまいました…


その後無事に最後の日まで活動を続け、大学の授業のために東京に帰ってきました。


またぼちぼち投稿できたらと思っています!