エルヴィス
監督:バズ・ラーマンさん
出演:オースティン・バトラーさん、他
バズ・ラーマンと和解せよ
誕生日は仕事を休んで、映画館にこもる。というのを社会人になってから続けていまして、久々に2日で6本映画を一気に観たのですが、その6本目。ラストはバズ・ラーマンの新作「エルヴィス」を観ました。個人的にバズ・ラーマンって苦手な監督のひとりで、かつ世代的にエルヴィスにまったく思い入れがないということでまじで1ミリも期待してなかったんですが、見た結果これがめちゃくちゃよかったです!無事バズ・ラーマン作品と和解し、フィルモグラフィーの中でも最も好きな作品になりました。
オープニングからまずめちゃくちゃよくて、バズ・ラーマンのモリモリの作家性と題材が超あってんだろうなぁって思いながら観てました。語り手をトム・ハンクスにするという伝記ものには珍しく語り手が信用できないというのも新鮮。映像も動き回るカメラとギンギラギンの映像、目まぐるしい編集と、普通は苦手な部類なんですが、ショービジネスど真ん中の本作と見事にマッチ。
そしてこの映画でもっとも心つかまれたのが、教会のシーン。エルヴィスが洗礼を受けるがごとく、ブラックミュージックに心奪われ狂乱するシーンは今年観た映画の中でもトップレベルで興奮したシーンとなりました。あれはまじですごいですよね。ブルースとゴスペルがベースなんだと、観客に刷り込むこともできるし、あのワンフレーズが流れることで作品のキーとして機能するし。なんといってもあのグルーヴ感と、ヴィジュアルに圧倒させられる。いや~あの一連のシーンはまじで大興奮しました。
よくよく考えれば、バズ・ラーマンってみんな忘れているNetflixの「ゲットダウン」をやってたよなぁと見た後思い出しました。ブラックミュージックの歴史を絡めながらエルヴィスを語る。エンドロールの突飛だなと感じたヒップホップもそう考えれば意図が分かり納得するという。すっかり忘れてましたよ、バズ・ラーマンが「ゲットダウン」やってたことを。そう考えると監督のフィルモグラフィや作家性含めこれ以上ないキャスティングだったのかなと思いますね。
ライブシーンの数々はどれも心つかまれたし、まったくエルヴィスに思い入れのない私たち世代もとても心躍ったし、すごい単純な話だけど「あ、この人凄い人なんだ」ってマジで思えたので、伝記映画としては大成功ではないでしょうか。
今では当たり前の光景ですが、女性ファンがアーティストを見て「キャーーーー!!!」っていうのとか、その辺の描写、明らかにこれまで出てきたアーティストとは何かが違うと思えたし。なんか勉強にもなったし、興味も出たし、映画として面白いし、アガったしで最強じゃないですか。という1本でした。
とにかく私はあの教会でエルヴィスがブラックミュージックと出会うあのシーンがまじで忘れられない。あのシーン見るだけでも見た買いがありました。おもしろかったなぁ!