ブラック・ウィドウ/作り手のナターシャ愛 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



ブラック・ウィドウ


作り手のナターシャ愛
監督:ケイト・ショートランドさん
出演:スカーレット・ヨハンソンさん、フローレンス・ピューさん、他



久々のMCU劇場公開作品「ブラック・ウィドウ」を初日に観てきました。コロナでフェイズ4のスケジュールが入れ替わってこの度ようやく公開。Disney+によるドラマシリーズの展開もはじまり、エンドゲーム後のフェイズ4も目まぐるしく展開しているMCUです。久々の劇場公開作となった「ブラック・ウィドウ」とてもおもしろかったです。


今更ブラック・ウィドウの過去の話をやるの?と企画時点では思ってましたが、観てみると確かに必要なお話だったなという感じがしました。ナターシャという重要人物の作り手からの優しいはなむけ的作品となってました。スケジュールが入れ替わり、エンドゲームの衝撃やまたその後のドラマシリーズがエンドゲーム後のPTSD的テーマが描かれることを考えると、これがフェイズ4一作目だったというのは納得が高かったです。作品が一貫して優しい視線であることからも、ある種、MCUファンへのセラピー的立ち位置とも取れるなと思いました。

あとネタバレになりますが、エンドロール後にヴァルが登場。その後「ファルコン&ウィンターソルジャー」での彼女の動きなどを見るとフェイズ4以降の軸は彼女になるんだろうなぁと思わせたり。それを踏まえると、もうMCUって確実にドラマシリーズも完全に込みで物語を作っていってるんだなぁと、ドラマシリーズ履修は必須。どんどんハイコンテクストになっていきますな…。追いかけることに疲れてきてる人も周りにはいるので(笑)まぁ良くも悪くもな気はしますが、個人的にはまだまだ行けますが、このMCUに終わりはあるのか?というのは若干思ったり…いつ全てが終わるんだろうか(笑)


まぁそんなこんなで「ブラック・ウィドウ」。もちろんスカヨハも魅力的なんですが、スカヨハを食っちゃう勢いで妹役のフローレンス・ピューの存在感が圧倒的でした。彼女の映画と言っても過言ではない気がします。エンドロール後にヴァルとのやりとりもあるし、今後出てくることは必須。今後の活躍も楽しみです。

よくある潜入捜査疑似家族ものの側面も大変面白かったです。まずこの家族のやりとり、アンサンブルが大変魅力的。それぞれの葛藤や抱えてるもの、過去との落とし前など、各4人の物語それぞれがきちんと整理された素晴らしい家族映画になってました。ベースはしっかりめのスパイものなわけだけど、この家族のアンサンブルでハードすぎない絶妙なバランス感覚になってました。

あと、今回の敵役が見た目や設定など明らかにワインスタインをモデルにしてて、ここも諸々の設定とうまく噛み合ってて良かった。あちらはDCですが、WW1984がトランプを模した敵だったのを思い出す感じ。どちらもスケジュールが後ろに下がったことによってやや敵役の鮮度は落ちたかなぁというのは、誰も悪くないけど少し思いましたが、まぁだから悪い映画になったかといえばそうではないですが。

もうその後ナターシャが死ぬことはみんなわかってるわけですが、そんな中でも功労者へのはなむけとしてベストな映画なのでは?と思いました。とにかく作り手の優しさ、もっというとナターシャ愛が溢れてて、エンドゲームという巨大なピリオド後の作品として必要だった映画なんだと思いました。