プラットフォーム/行き渡るはずなのに | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 
 
 
プラットフォーム
 
行き渡るはずなのに
監督:ガルダー・ガステル=アルティアさん
出演:イバン・マサゲさん、他
 
 
 
映画館で見逃した~と思ってたら、早くもNetfilixに来てたので観てみました。便利な時代になったもんです。てなわけで、「プラットフォーム」おもしろかったですよ。
 
 
まず設定がおもしろくて、それをきちんとビジュアル化した美術も良かったです。上から超豪華な食べ物が降りてきて、各階の人が食べていくと。残ったものがどんどん下の回に降りて行って…本来ならみんなに行き渡る量の食べ物のはずなのに、下の階層の人たちには食べ物が行き渡らず。殺し合って人間食って生きるしかないという、まぁザ・寓話って感じのワンシチュエーションのスリラー映画でした。

誰がどんな目的でこんな施設を作ったのかはよくわかりませんし、完全に人権は無視な不条理な装置なわけですが、確かに社会実験装置としてこの映画のこの施設はかなり優秀だなと思ったりしました。月に一回階層がシャッフルされるというのがミソだと思うんですが、百何十階とかでもう命カラガラだった人が、次の月に6階とかの超上の階層に行ったら人間性がどう変化するか?とか。上の階層の人にやられた酷いことを下の階層の人にやってしまうとか。同じ階層同士の人間は協力したとしても上下の階層では協力はしないとか、まさに社会の縮図の嫌な部分を凝縮した構造の話になってて、とても興味深くみました。
 

時々描写される、食べ物を供給してる人たちの描写もおもしろくて。1番上の階でご飯を作ってる人たちですら、直接は見せないけど確実にそのさらに上の層の人たちのもとで動いているようで。しかも想像してたよりも下の階がはるかに深いってのもほんと絶望的な気持ちになる感じで良かったですね。

何かひとつを持って入れるという設定も良かったですね。実際この場合の持ち込み物として最適解はなんなんだろうかなんてことも考えたり。

ラストあたりも、社会実験的なところから一歩進んで神話っぽい味わいに。伝言となった彼女はその後どうなるんだろうか、この施設(社会)に変化は訪れるんだろうか。そんないい余白のあるラストでした。家でサラッと観た感じでしたが、とても楽しみましたよ。食べることの重要性を再確認する食べることについての映画でした。