1秒先の彼女/スレスレの気持ち悪さ | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




1秒先の彼女


スレスレの気持ち悪さ
監督:チェン・ユーシュンさん
出演:リウ・グウァンティンさん、リー・ペイユーさん、他



TwitterのTLでとても評判が良かった台湾製SFラブコメディ「1秒先の彼女」を観てきました。いいところもある!が、私は全然ノレませんでした…。


作品全体のノリやデザイン、またココぞという時の撮影など、魅力はかなり多くて要所要所はとても楽しみました。主人公の女優さんのコメディエンヌとしての魅力がハンパないのでミステリー要素を残した前半は基本的にとても楽しい映画として観れました。

中盤の見せ場である時間が止まった世界の撮影はとても良くて、あそこまでポップに時間が止まった世界というのを大々的に撮影できてるのは大変感動したしおもしろかったです。そこからバスで海辺や海岸を移動するシーンの撮影は大変美しくて、映画のルックがポップでワンダーな感じは良かったなぁ。全体的に物語が優しくキュートなのも好印象でした。前半から中盤についてはこりゃすげぇ傑作になるのでは?という期待が凄かったです。



が、個人的にものすごいマイナスになっていってしまったのが、後半視点が入れ替わり男側の物語がはじまってから。

ひとことで言うとこの男がすげぇ気持ち悪かったんですよね…。実は小学生の時に会っていて、そこから男側は一途に彼女を思い続けていた…なんていうことがわかっていきます。彼の行動を冷静に思い返すと……一途といえば聞こえはいいですが、ちょっとなんでしょう、滲み出るサイコ感が凄い気になると言うか、正直スレスレでアウトなのでは?と思わざるを得ず。ちょっと生理的に受け付けない部分があまりに多かったです。

劇場では笑いが起きてましたが、時間が止まった世界で停止した女主人公と海にデートに行き、ポーズを取らせ写真を撮るなどするシーンは、キュートなSFラブコメというラインを超えて、個人的には死ぬほど気持ち悪くて体が受け付けませんでした。「眠れる森の美女」問題とかにも通じると思うんですが「えっ、今そういう描写やるの?」という違和感が拭えず大変にノイズでした。普通に気持ち悪すぎない?汗

小学生の時に事故がありましたという、実はこうでした的な展開も唐突で、これまで積み上げてきた物語とは全く関係ない要素が突然現れるので脚本としてもノレず。特に伏線もないし。

結末もどうなんでしょう。いくら小学生の時に運命的な出会いがあったとはいえ、今それを明かされてそんなに都合よく惚れて涙しますかね?となんとなく非常に都合の良い不健全なセカイ系に見えて気持ち悪かったです。普通に怖くない?と、ともかく後半からクライマックスにかけてが個人的にまったくノレず。前半が非常に良かっただけに凄い残念でした。

唐突に出てくる過去の事故うんぬんをもうちょっと突飛でない設定にするとか、もうちょっと前半に男とちゃんとコミュニケーションを取らせておくとか、せめて少しでも好意を持たせるとかしてれば、百歩譲って飲み込めたかもしれませんが、このバランスだと私は強烈な違和感と生理的気持ち悪さが勝り、受け入れられず。褒めてる人が多い映画で申し訳ないですが、私はダメでした。もうちょっと良いバランス感が絶対あったはず!