BLUE ブルー/瓜ちゃん……!! | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




BLUE ブルー

瓜ちゃん……!!
監督:吉田恵輔さん
出演:松山ケンイチさん、木村文乃さん、他



吉田恵輔監督の新作ということで「BLUE ブルー」を観てきました。とてもグッときました。素晴らしかったです。瓜ちゃん……!!


個人的に吉田監督作で一番好きな映画は「ばしゃ馬さんとビッグマウス」なんですが
(超大傑作……!!必見!!)



今回はかなり「ばしゃ馬さんとビッグマウス」の味がしました。ばしゃ馬さんにやられたあの感覚の最新進化系…という感じでしょうか。

夢というのは呪いでもある…というのはよく言われることだけども、今回もその「夢」と「現実」の違い、または「持ってるやつ」と「持ってないやつ」の違いみたいなものを残酷にそして真摯に描いた映画だと思います。そしてこのラストの後味は「吉田恵輔監督作品!」としか言いようがない一本になっていました。


映画全体凄いんだけど、ともかくラストシーンにやられましたよホントに。ボクシングをやめて引退した松山ケンイチこと瓜ちゃんが、漁業の仕事をしているシーンがラストシーンで。港の倉庫で長靴に防水エプロンでシャドーをするというあのシーンですよね。撮影とライティング絶妙というのもあるんだけども、夢を諦め、大好きだったボクサーを辞めてまったく違う仕事をしている、いわゆる夢破れたシーンなんだけども、あのシャドーのシーンのなんとも言葉にできない尊さというかさ、物凄く神聖なものを見ているかの様な気になるあの凄みはなんなんでしょうね。

物凄く切ないんだけど、でも同時になぜか希望的なる何かを感じたりもする。なぜか清々しくもある。なんなんでしょうね、言語化できないんだけど、「あのシーンのあの感情」としか言えない何かがあのラストシーンにはあって、それってめちゃくちゃ「映画だな」と思うわけです。あのシーンでしか語れない感情があのシーンには映ってるんですよね。(ややこしい文章)

「ばしゃ馬さん」のラストシーンも凄かったけど、今回はここの撮影も相まって、とんでもない余韻が生み出されてますよね。この映画の魅力はここだなと思いました。うん、あれは忘れられない。。

松山ケンイチさんは間違いなくベストアクトでしょう。彼でしかあり得なかったし、とにかくいい人としての説得力がすごい。脇もみんな良かった、主要3人、木村文乃さん、等々。

「夢」とは何か、幸せとはなんなのか、何かを好きでいること、そして好きなことを極めるということ、勝者とはなんなのか、敗者とはなんなのか、人生とは…なんていうところまでともかくいろんなことを考えた「BLUE ブルー」。個人的に1番好きなボクシング映画は「百円の恋」ですが、そことはまた違った方向の新たな和製ボクシング映画の傑作爆誕!という興奮がありました。観た人全員に刺さるわけではない映画ではあると思いますが、刺さる人には死ぬほど刺さる映画。「BLUE ブルー」最高でした。