ミナリ
小さい頃聞かされた世界の見方
監督:リー・アイザック・チョンさん
出演:スティーヴン・ユァンさん、ハン・イェリさん、他
アカデミー候補作「ミナリ」を観てきました〜。予告をちょろっと観ただけで、どんな話かもわからないまま見たし、なにより「ミナリ」ってなんのこと?と思いながら、そんな中鑑賞。とても見応えがある映画でしたし、おもしろく観ました。
テレンス・マリックやん!というのはさておき、いやさておけないくらいテレンス・マリック味のある映画でした。フレアなど光の使い方とか、太陽の光で何か神的なるものが発動するとか、そもそもかなり「天国の日々」を感じたりとか、もろ!な旧約聖書的展開とかも含め、テレンス・マリック大好き映画だなと思いながら鑑賞。
そもそも私、このスティーヴン・ユァン演じるお父さんがキャラとして好きではない…どころかすごく嫌いなタイプで(笑)身勝手、具体的な話し合い・説明をしない、言動に論理性がない、沸点が低い、などなど。ともかくキャラクターとして乗れない人だったんですが、映画自体がかなり寓話的かつモロに聖書モチーフを組み込ませてくるものだったので、主人公が超嫌いな奴な割にスイスイと見やすかったです。この感覚前も味わったなぁと思い返すとダーレン・アロノフスキーの「ノア 約束の舟」で、その時も同じ感じでした。というかこの2作かなり似た話な気もする。
おばあちゃんを演じたユン・ヨジョンさんがともかく素晴らしかったです。あの一夜からの朝。それこそテレンス・マリックオマージュな太陽の光が降り注ぎ、神的な何かが発動し、男の子の病気を吸い取ったかのような状態になるあのシーンはこの映画で1番なんか見応えがあったなぁ。
全体的に「生きること・生活をすることの巨大なシステム」についてのお話に見えて。この世にはなにか説明のつかないそれこそ神的な何かの巨大なシステムのもとに動いていて、説明のつかない奇跡も起きればふいに災いも起きる。この映画はそのシステムのもとで動いてる(動かされてる)人物たちの寓話だから、とても観念的ではあるんだけども母親がキリスト教徒で少なからずその影響を受けて育った私は小さい頃母親から聞かされてきた「世界」の見方とかなり近いものがあって、個人的になんか懐かしなぁと思ったりもした、そんな映画が「ミナリ」でした。おもしろく観ました。