ノマドランド
今後この映画をAmazonで買うであろう俺たち、という視点。
監督:クロエ・ジャオさん
出演:フランシス・マクドーマンドさん、他
アカデミー候補作「ノマドランド」を観てきました。監督は前作「ザ・ライダー」で注目されたクロエ・ジャオさん。すっごい良かったですし、色んな気持ちになりました。
個人的に見る前に想像してたものと違った魅力があった映画でした。予告の感じやあらすじから、「格差社会の闇!」的な資本主義的なるものから溢れた人たちの悲哀を映し出すだけの映画かと思ってたんですが(たしかにその一面は描かれますが)、そことはまた違う視点がもうひとつあってこの映画の魅力はそこだなぁと観ながら思いました。
家というか街ごと消えて、資本主義のレールからこぼれ落ちちゃう悲劇的な話ではあるわけだけど、でもそこからのノマドの生活がものすごく豊かに(壮大な自然も含め)描かれるというのがこの映画のポイントだと思います。映像含め、ともかく「豊か」というのがこの映画1番の感想です。なんと豊かな映画なんだ、と。寂しく孤独な一方、豊かで力強い魅力もあり、その二面性に心震える映画でした。
ただもうひとつ。消費してる我々は資本主義側にいて、これを見て「ノマドもいいなぁ豊かだなぁ壮大な自然だなぁ」なんて思っちゃったりしてるというこの構図自体にも二面性があるということがなんとも言えない気持ちになったりもします。サーチライトピクチャーという今のDisneyが製作し、このソフトを我々は今後Amazonで買ったり、プライムビデオで観るわけで、そう考えるとなんかね、なんとも言えない気持ちにもなるなぁとか…そんなことを思ったりもしました。「今後この映画をAmazonで買うであろう、俺たち。」という視点は持っておきたい。かも。だから、すげぇいい映画だったけど、簡単にこの映画を消費しても良いのかなぁというのは少しばかりあったりもします。ま、映画自体とは関係ない話ですが(意外とあるのかも?)。まだこの辺はあんまり具体的に言語化できてません。
まったく関係ない映画だけど、この間見た「騙し絵の牙」もAmazonが出てきてかなり物語の鍵になってましたね。扱われ方は全然違いはするんだけど、なんかあっという間にAmazonがもうどの国にとっても中心にあるんだな、なんてことを改めて感じた今日この頃。この先の10年、20年でいったい社会はどうなるんだろうか。皆目想像もつきません。
というわけで、ノマドランドでした。オスカー作品賞、取りそうだなぁ。