娘は戦場で生まれた
生身の画の強さ
監督:ワアド・アルカティーブさん、エドワード・ワッツさん
ずっと観たかった本作。こちらもやっとこっちにまわってきたので、映画館に行ってきました。いや〜劇場で観て本当によかった。
凄まじいドキュメンタリーでした。
内戦中のシリアで、その戦地ど真ん中の病院を舞台に撮られたドキュメンタリー。凄まじすぎる映像のつるべうちに圧倒されました。ワンカットワンカットの衝撃と緊張感、そして悲惨さがただごとではなく。撮ろうと思って撮れるものでもないので、まぁともかくすごいの一言です。本当に生身のリアルな戦場の病院の映像なので、単純に画の強度がただごとではなく…ともかく圧倒的でした。今年トップのキッツイ映画ですが、ホント見て良かったです。
色んな戦争ドキュメンタリーを観てきたけど、トップレベルの映画で。なによりこれ撮られたのほんとつい最近なんですよね。改めてこの深刻さというか、決して他人事ではない感じ、分断が進みに進んでるこの世界では誰も他人事ではない、今の一歩先をリアルに体験させられる映画だったなと思いました。こんなにリアルな死体が出てくる映画もそうないよなと。今さっきまで一緒に仕事してた病院スタッフが、簡単に爆撃で死んでしまう。その緊張感たるや、すごいものがありました。
この映画の大きな大きなポイントは子供ですよね。子供が中心の話なので、ほんとに一瞬一瞬がサスペンス的になってるし、当たり前ですがまったく安心できる瞬間が存在しない。爆撃は当たり前という環境で育ってるから、近くに爆弾が落ちようが、子供は泣きもしないし、それが当たり前なんですよね。この悲しさは凄かった。
あとは、爆撃を受けた妊婦さんのお腹から子供を救い出すあの忘れ難いシーンはほんと息を呑んだし、涙が出た。奇跡というものの、可視化に成功してますよねあれ。いやはや凄まじい。
不条理なこと、ありえない様なことが当たり前に起きてるこの世界で、子供という次世代にどんな世界を残したいか、どんな世界で生きてほしいか、その親としての決意みたいなものがヒシヒシと伝わってきて、なんとも言えん気持ちになりました。劇場でも、リアルに観客の息を呑む音がめちゃくちゃ聞こえてました。映画を観て、久々にこの緊張感を味わったなと思います。凄まじい映画体験でした。そしてこれは今起こっている、という事実がなにより凄まじい。そんな「娘は戦場で生まれた」でした。
一瞬たりとも気の抜けない、極度の緊張状態が続く2時間。すごすぎでした。