劇場版 鬼滅の刃 無限列車編/この機会に鬼滅の刃に入門してみた | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



劇場版 鬼滅の刃 無限列車編


この機会に鬼滅の刃に入門してみた
監督:外崎春雄さん
出演:花江春樹さん、鬼頭明里さん、他



間違いなく教科書に乗る級の歴史に残るヒットになっている鬼滅の刃。私はこれまでまったく鬼滅の刃を読んだことも観たこともなかったのですが、せっかくの機会なのでNetflixでアニメ版を短期間で勉強しまして、映画を観てきました。

コロナ以降ガラガラだった我が地元の映画館も人に溢れてて、ほんとに感動しました。やっと映画館に人が戻ってきた!コロナの心配はまだあるとは言え、やはり人に溢れ活気のある映画館は気持ちがいい。地元から映画館がなくなったらどうしよう…と思ってたので、少し安心してちょっと泣けました。ほんとにうれしかったです。

さて、鬼滅の刃ですが、まずはNetflixで観たアニメの話から。全26話あったと思うんですが、正直に言うと20話くらいまではノレず流し見してました(^^;) 気になったのはモノローグの多さと説明の過剰さで、ほんとにエピソードによっては8割くらいモノローグなのでは?というエピソードもあって、画面見てなくても話わかるレベルで。好きな映像作品に感じる快楽とは真逆をいく構造だったので、これに体が慣れるのに時間がかかりました。ですが、20話くらいでその過剰さがかえってグルーヴとして機能していく感じがあり、あんまり気にならなくなったのと、柱がぞろぞろ出てきてキャラとして魅力的な人たちが増えた、そしてキャラ数が増えたことでモノローグが減って見やすくなったということもあり、あと単純に話がかなりおもしろくなってきて後半は完全にのめり込んでみてました。柱が出てきてから段違いのおもしろさですよね。おもしろくなるまで長かった!

アニメ・映画と観てみて個人的におもしろかったポイントがいくつかあるのですが、なによりデカいのは「キャラの気持ちよさ」だと思います。とにかく出てくるキャラクターみんな気持ちのいい人間ばかりなんですよね。素直にお互いを認め合い、気持ちを伝える。見てて気持ちがいい。そんななか特に気持ちがいいのが炭治郎となにより煉獄さんでしたがこれはまた後ほど。

あと、色んなこれまでのエンタメ作品のいいところをうまく組み合わせたような感じも好きでした。ベースにあるのは割とクラシックな怪奇で、ここにBLEACHとかH×H、進撃の巨人、まどマギなどなどなんかこれまで見てきた色んな作品のおいしいところを絶妙に感じるという、なんか「懐かしい」作品だなというところが良かったポイントでした。新しさは正直感じないんですが、なんかいいバランスの嫌味のない懐かしさが好きでしたね。



そんなこんなでおもしろくなるまでだいぶ長かったですが、テンションの上がった状態で映画館へ。いや〜とても楽しみました!



1本の映画としては明らかに歪な構成なので、1本の映画としての判断はしかねるんだけど、アニメからの流れで見る「鬼滅の刃」のエピソードとしてこの映画は本当にグッときました。

夢がテーマになってますが、炭治郎パートはキツかったなぁ〜。ただでさえ光の見えない辛すぎる現実を生きてる中で、あんなものを夢で見せられるなんて、まじ辛い。夢でネズコが出てくるタイミングとか含め、徹底的に炭治郎を追い込む追い込む。でもそんな中で、それを振り切り現実に戻っていく姿はほろほろと感動しました。世の中は残酷で救いのないものというのが前提にあるのが鬼滅の刃のおもしろいところだと思うし、そこにキッズたちが熱狂するというのもおもしろい。もう何にも頼ることができない時代じゃないですか。自分でなんとかするしかない、自分の力で切り開くしかない。そんな時代を「誠実さ」で切り開くという。この救いのない時代の今のアニメとして、鬼滅の刃の魅力はここじゃないかなと私は思いました。

あと実は汽車全体が敵でしたという展開も初見だったので新鮮で好きでした。各キャラクターの魅力もしっかり描いたバトルシーンもよかった。

あとはなによりこれを言いたい。とにかく煉獄さんが好き。この一言に尽きるんですよね。とにかく気持ちのいい人間ばかりだとさっき言いましたが、その魅力をなにより体現しているのが煉獄さんだと思います。とにかく見てて気持ちがいい!好き!最高!アニメ版ではじめて目にした時からもうすっかり魅了されました。瞳孔ガン開いた目で清々しい正論を言い切る姿、声量と発声、キャラのデザインも含めまじ最高。煉獄さんに会いにまた映画館に行きたいくらいです。

映画を観たあと詳しい人たちに教えてもらったんですが、これコミック全体で言うと1/3くらいで、まだ序盤なんだね!ここにビックリしたし、アニメの映画化として斬新なタイミングだなとも思いました。そして序盤のワンエピソードがこんなにもヒットするのかというのもビックリ。全然話終わらない…どころか広がりまくってるところで投げ出された私のような映画をきっかけにアニメを見始めた人間はコミック読んじゃうよね。ということでまんまとkindleでコミック全巻ポチってしまいました。これだよ!!思う壺というやつですよ!!

と、集英社と東宝の掌で踊らされながらも全体の体験としてとても楽しんだ鬼滅の刃でした。とりあえずコミック読みまーす。