窮鼠はチーズの夢を見る/“流され侍”関ジャニ大倉忠義 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




窮鼠はチーズの夢を見る

“流され侍”関ジャニ大倉忠義
監督:行定勲さん
出演:大倉忠義さん、成田凌さん、他



行定監督の新作「窮鼠はチーズの夢を見る」を観てきました。原作未読。行定監督作品で言うと近々で観たのが「劇場」でしたね。賛否割れてましたが僕は好きな方の行定作品だったりしたので、今回も割と楽しみにしてました。

てなわけで「窮鼠はチーズの夢を見る」、ともかく関ジャニ大倉忠義と成田凌に魅了されました…!



正直お話の中身自体はいわゆる「よくある恋愛映画」の構造を取った王道ストーリーだと思って、要素だけを取り出せばお話自体に新鮮味はあんまりなかったんですが、とにかく主演2人大倉忠義と成田凌が凄まじくイイ!この2人ずっと観ててぇなと思ったなぁ〜。

そもそも私は恋愛作品において、どちらかに感情移入しまくって見るというよりは神の視点、俯瞰視点から関係性とかその変化を愛でて萌え狂うという見方をするので、そういった意味では愛でる対象である今回の2人はまじ最高でした。私、これまで映画に関わらずマンガや小説においてもBL作品というものにまったくといっていいほど触れてこなかった人間なんだけど、あぁBL作品ってこういう愛で方をして楽しむもんなんだ、と新たな視点をいただいた感じがします。原作も読みたくなりましたね。

大倉忠義の絵に描いたようなツンデレっぷりと、流され侍たる所以を知らしめるが如くとにかく来るもの拒まないあの自我の無さとあれよあれよ感、素晴らしかったなぁ。ダメだなぁ(笑)行定監督はダメ男ばかり描き続けてるけどそういう癖でもあるのだろうか…。

そしてそこに現れるのが成田凌なわけだが、とにかくなんだろうかあの猫っぷり。男女問わず、あぁいう懐に入り込む才能の塊のような人間っていて、そういう人種を僕はほんとにうらやましく思うわけだけど、今回の成田凌はその最上級のものという感じでしたね。とにかく(うまくいってる期間の)この2人の絡みはとにかく良くて微笑ましさの塊でしたね。



で、個人的に気になったところなんですが、それは女性陣の描き方だったりしました。主人公2人は行定監督の熱量をヒシヒシと感じる描きこみなんだけど、明らかに周りの女性キャラクターへの監督の熱量の低さを感じて…明らかに単純化された記号的なキャラクターになってるような気がします。正直女性キャラクターにあんまり人間味を感じないというか。これって前作の「劇場」でもそうだったし、行定作品を振り返ってもとてもありがちな現象だと思ってて、クセなのかなぁ。今回はBL作品原作ということもあってかなのか、原作からそうなのかはわからないけど、ちょっと女性が単純に主人公側から見て敵キャラなってたり、単純に主演2人を盛り上げるための材料みたいに感じたりで、ちょっとこの辺は個人的に気になりましたかねぇ。

まぁしかし明らかに監督が入れ込んだであろう主演2人への撮影は素晴らしいのでオススメ。セックスシーンもキレイでしたし。BL原作映画を初めて見た記念として思い出深い映画にはなったかなと思います!