キャッツ/猫を敬え | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。






キャッツ

猫を敬え
監督:トム・フーパーさん
出演:フランチェスカ・ヘイワードさん、レベル・ウィルソンさん、他



「キャッツ」を観てきました。舞台版は未見。アメリカの批評が超おもしろいことになっていたので、どんな映画なの?と気になったのが観に行った大きな理由のひとつ。散々酷評されてはいましたが、元々トム・フーパーの「レ・ミゼラブル」がすごく苦手だったこともあり「キャッツ」はスルー予定でしたので、あの酷評は少なくとも興業にプラスに働いたのでは…まぁ僕だけの話ですが。てなわけで「キャッツ」ですが、うーん厳しい戦いでした。


様々な嫌な要素が積み重なっているので難しいですが、個人的に大きかったのは「レ・ミゼラブル」の時に似てて、映画として気持ちよさ、ダイナミズム、カタルシスを全く感じない役者のバストショットの羅列で聴かされる「いい曲」はそれは曲であって映画なのか?というところというか、映画に求めるものや魅力って色々とありますが個人的にはこの映画にはその求める要素がなにも無かった…という感じ。

舞台版もどうやらそうらしいんですが、とにかく話がないんですよね。起承転結の起と結だけで終わるお話で。とにかくずっと猫の自己紹介が延々と続きます。最初の2つくらいはなんとか観れたんですが、後半はまじでキツい。後半になるにつれて新しいビジュアルが出なくなるし、どんどん舞台立てが変化しなくなってくる、動きがなくなってくるんですよね。「物語」というエンジンがない以上、ビジュアルと音楽でしか映画を引っ張れないわけで、そのどちらも後半に行くにつれ飽きてくる。いつ終わるんだ…まだ自己紹介してるよ…と、最後の方はほんとに眠かったです。


で、ラストはあれどうなんですかね。元スター猫で今は街の厄介者みたいな猫を褒めてよいしょよいしょして街の外に島流してるようにしか見えませんでした。

で、それで終わるのかと思いきや個人的に1番ビックリしたのが最後の曲。まぁ要約すると「我々は猫だ。犬じゃない。敬え。」という内容。これで大団円ですよ。ここがまぁこの映画が1番言いたかったことであるというのは間違い無いと思います。まぁぶっ飛んでてアバンギャルドな物語構造ですね。

とにかくどこを楽しんでいいのかわからないまま終わったし、まったく心が動かないという個人的には無の映画でした。良かったのは序盤のレベル・ウィルソンのパートかな。あそこが1番狂ってて正気とは思えないことがいろいろ起こるので、あのシークエンスだけの短編だったらだいぶ良かったかなぁ。とにかくトム・フーパーのミュージカルは苦手というのを改めて実感しました。体感時間がとてつもなく長く感じたなぁ。