フォードvsフェラーリ/「雇う側」と「雇われる側」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。






フォードvsフェラーリ

「雇う側」と「雇われる側」
監督:ジェームズ・マンゴールドさん
出演:クリスチャン・ベールさん、マット・デイモンさん、他



毎日車を運転してるにも関わらず、未だにどうやって車が動いてんのかよくわかってないほど車に興味のない人間ですが、「フォードvsフェラーリ」を観てきました。もちろん自動車業界のあれやこれやもよくわかんねぇわけですが、そんな私も楽しめました。


めちゃくちゃ大絶賛されてる本作ですが、僕はそんなに熱量高めではないものの、それでもしっかりとおもしろく、楽しめました。車や車業界には詳しくない私ですが、レースシーンには大興奮しました。ガチで車が走ってる肌感覚を感じられて、さらに音響の素晴らしさ。エンジン音が非常に素晴らしくてその場で見てる感覚、または乗ってる感覚になりました。ドルビーアトモスで観たのも正解でした◎!

あとはクリスチャン・ベールがちょっとどうかと思うくらいよかったです。ここまでカッコいいクリスチャン・ベールがこれまであっただろうか。痺れるほどかっこよかったです。マット・デイモンとの関係性の変化も良かったし、あとは何より家族シーン。あのできた息子と死ぬほど美人の奥さんとの家のシーンはどれも印象深くて良かったです。まぁだからこそラストは切ないわけですが。


この映画の一番好きなシーンはマット・デイモンが社長をレースカーに乗せて爆走し社長が「知らなかった…」と号泣するシーン。基本的に資本を出す側と現場の温度差や考え方の違いの間で揺れ動くマット・デイモンという軸があって、ここがこの映画で一番おもしろかったところ。中間管理職映画ですよね。スポーツ映画かと思って見てたら実は会社員映画だったという感じで、我々とはまったく世界の違う業界の話かと思いきやものすごく普遍性のあるテーマでそこがおもしろかったですね。

現場をわかってない資本を出す側がはじめて自分がなににお金を出そうとしてるのか、その現場では実際なにが起きてるのか、その現実を一気に突きつけられるのがマット・デイモンと社長のドライブで、ちょっとあそこはスカッとしましたね。

クライマックスのルマンのレース、あの結末はあれは史実なんですかね?(車弱者のため知らない)まじであんなことがあったのか!とビックリ。会社のメンツというクソみたいな大人の事情に笑うしかないわけですが、それでも次こそやってやろうぜ!と再起を誓うクリスチャン・ベールとマット・デイモンの姿にはまじグッときてちょっと泣きました。そしてだからこそラストが切ない…。

ま、てなわけで車業界弱者な私も「雇う側」と「雇われる側」という普遍的な会社映画としてとても楽しみました。音響が最高だったので映画館で観れて良かったです。