ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8
「物語」よりも強力なものはない
おわったーーー!!
おわってしまったーーー!!
というわけで、遂にゲームオブスローンズがシーズン8をもって完結しましたね。世界中で賛否が渦巻いている最終章ですが、たしかに駆け足感はあるし、これまで緻密にゆっくりとキャラクターの感情を積み上げてきたのに比べると、風呂敷を大急ぎで畳んだ感じは否めない…と僕も思いますが。しかし、僕はやっぱこれまでの彼らの旅がやっと完結した感慨や出演者スタッフみんなお疲れ様…これまでありがとう…という感情がまさって、全然嫌いじゃないのですよ!
まず今シーズン前半のVS死者軍団の戦いは凄かったですね〜。シーズン1の1話と呼応するような本シーズンの1話の再会や初対面の数々はとても良かったし、戦シーンもちょっと暗すぎでしたが、暗いからこその闇と光をうまく使った演出にうなりました。ただ戦いのロジックがイマイチだったのがちょっと残念だったかなぁ。ぶっちゃけ大負け試合だったし、もうちょっと戦略的な見せ場がいとつあってもよかったかなぁと。ドラゴンの使い方もイマイチ適当で特にジョンはドラゴン初心者ということはありますが、まじ役に立ってなかったですね(笑)まぁそこもジョンっぽいけど(笑)お前休んでる暇あったらドラゴンで敵焼けやなにボーッと見てんねん!とか思いましたが。
しかし最後の一発逆転のアリアジャンプは最高でした。「おおお」と声が出ましたし、久々にアリア最高かよモードになりました。敵は圧倒的に勝ってるんだからわざわざボスが降りてこなくて良かったのにね…。敵ボスがドラゴンにあのまま乗ってたら普通に負けてましたな。
しかし、この前半はキャラクターの心の描きこみがちょっとこれまでのお話と比べると性急な気がとてもしました。アリアのセックスシーンはなんかアリアっぽくねぇなぁと見てたし、ブライエニーのセックスとかあれ必要だったかなぁ?とか(ジェイミーのラストを見ると余計に…)、あとジョンが「マイ クイーン」「アイラブユー」しか言えないマシーンになっててあんまり心の機微を感じなかったというか、終始ジョンの描きこみはやや急ぎすぎだし浅いかなぁと思いました。逆にデナーリスの、気づけばひとりじゃね?という孤独感の描きこみは良かったと思います。
あとやっぱりサンサは最高だぜ。
後半の見せ場は、デナーリスとサーセイの鉄の玉座攻防戦。賛否渦巻くデナーリスの無実の民や街を全焼させる狂王に急に変貌するという展開ですが、個人的にはけっこうこの展開は好きだし、納得。よく考えればこれまで合理的に暴力というものを発動させて勢力を大きくしてきたし、精神状態もアレだし、まぁやりかねんだろうなとは思いました。最初に観客が見せられていた玉座に雪が降るというビジュアルは、実は雪ではなく灰だったというのは、うまい伏線でしたね。
この、民がひたすらに殺されまくるという容赦のなさ、大量破壊兵器としてのドラゴンの圧倒的暴力。これまでで、最も恐ろしくバイオレントなエピソードでしたね。戦争ってこういうことだよ、とまざまざと見せられましたし、超見てて疲れました。「炎628」かよ!と思いましたよ。このエピソードはかなり好きだし、忘れがたいエピソードになりました。ここでもジョンが何もできないのには笑いましたし、ジョンっぽくて良かったです。
不満があるとすればサーセイですね。僕はゲームオブスローンズ でサーセイが1番の推しだったんですが、あのサーセイが、なんの策もなくただただ殺されるだけって、そんなことあるかな?と思いました。サーセイのことだから、なにかとんでもない一発逆転の非情な策を用意してるんじゃないかと思ってましたが、無策のまま死んでくだけ…。ただのやられ役になっててサーセイファンとしては残念でした。サーセイらしさを「子供ができたから」ということでうやむやにされてて、まぁ確かに分からなくはないけど、だからこそ、非情に、残酷に牙を剥くサーセイであって欲しかったです。ジェイミーとのラストもブライエニーとヤッたあとだし、結局お前なんやねんと、なんかイマイチ乗り切れないままで、アッサリと死を見守るのみでした。
しかし、ティリオンがよかった。本当によかった。ジェイミーとティリオンのラストはおいおい泣きましたし、実はサーセイをものすごく理解しているというのもよかった。いや〜ティリオン最高だな〜〜!
焼き尽くした街を見てるデナーリスの「あっち側に行っちゃった感」はとてもよかったし、よく考えるとまぁこれまでとやってることは実は変わらず、軸はブレてないんだよね。だからこそやっかいなんだけど。
最終的にはジョンがデナーリスをぶっさして殺害。ここはもうちょっと今シーズンで2人の関係をもっともっと煮詰めてたらよりジョンの苦渋の選択が際立ったんだろうけど…今回のシーズンはジョンの葛藤や心境がイマイチわかりづらいのでやや盛り上がりに欠けてたかなぁ…。
振り返ってみると、やっぱりスターク家の子供たちの成長物語だったなぁと。それぞれの物語の再スタートで終わるラストを見て、みんないろいろあったけど、成長したなぁ〜と親心でほっこりしました。特にサンサはすごい成長をしたよなぁ。
あと、このお話を「物語」として納めたのはきれいでよかったです。やや直接的に説明しすぎなところもあるけど、ティリオンが最後にいう「物語よりも強力なものはない。物語は誰にも止められない。」という感じのセリフはグッときたし、まさにゲームオブスローンズ という長い物語を見守ってきた身としてはこの「物語」を見守ってきた感慨と、これから語り継がれるであろうこの「物語」のとりあえずの終わりに立ち会えた感慨でグッときました。
確かにね、展開早すぎ、急ぎすぎ、キャラクターが動いていくんじゃなくてキャラクターを無理やり動かしてる感じがしたのは正直否めないんだけど、でも、10年間のこの長い物語が「終わった」という感慨は、どんな感情よりも強い。まじ感謝感謝です、という感じ。リアルタイムで見届けられて良かったです。
アベンジャーズもおわり、ゲームオブスローンズ もおわり、ポッカリと心に穴が空いたそんな日々がまだ続いております。
HBOは、ゲームオブスローンズ で儲けまくった金でまたとんでもないドラマを作ってくれるだろうし、今後も楽しみにして新たなエンタメの誕生を待ちたいと思います。さようならゲームオブスローンズ !