無限の住人
好き度: ★★★☆☆ 3.0/5.0点
ボロボロになりながら、ヤレヤレと戦うキムタクは三池崇史自身なのでは。
元メヌードのケビン・スペイシー主演(わかるひとにはわかる文章)×三池監督、無限の住人を観てきました。最近の三池作品ではいちばんスキでした(゚∀゚)!!
伝説の人斬り・万次は、妹の命を奪われて生きる意味を見失った時、謎の老婆によって無理やり永遠の命を与えられ、死にたくても死ねない「無限の体」になってしまう。そんな永遠の時間を孤独に生き続けるだけの日々を送っていた万次の前に、剣客集団・逸刀流に両親を殺された少女・浅野凛が現われ、仇討ちの助っ人を依頼する。凛の姿に亡き妹の面影を重ねた万次は、用心棒として凛を守ることを決意し、凄絶な戦いに身を投じていく。というお話。
まず、この映画140分は長かった。物語がぶつ切りで展開がややちぐはぐしててなかなか前に進んでいかない印象でした。140分はさすがに長すぎなのでは…と感じましたね。でも死ねないキムタクの人よりも長い時間を生きている人間の映画としてはこれくらいのテンポのほうがテーマともあってるのかなぁとも思うので難しいところですね。
ですが、おもしろかったのは、lこの映画、明らかに最近の三池監督作のなかでは監督自身のモチベーションがちがうな!と、その一目瞭然な三池さんの楽しそうな感じが画面からドバドバ出ててとても良かったです。ひとことで言うと愛情のかけ方がちがいましたね。おもしろかったのはこの映画の木村拓哉がだんだん三池崇史自身に見えてくるところでした(笑) なかなか死ねずにヤレヤレと仕事をこなしていくキムタクが、ヤレヤレと製作側の要望に応えていろんな原作映画をこなしていく職人監督としての三池崇史に見えてくるんですよ(笑)
キムタクは想像以上にハマっててとても良かったです。あと特に良かったのはヒロインの杉咲花ちゃんがめちゃくちゃ良かった!「湯を沸かすほどの熱い愛」でもその可愛さをいかんなく発揮してましたが、今回もそのかわいさをいかんなく発揮。なんなんだそのほっとけなさは!!と健気な姿に涙を誘われました( ;∀;)
そしてなんといっても素晴らしかったのは殺陣。これは素晴らしかった。圧倒的な数の敵に相対するキムタクのアクションがめちゃくちゃ良かったし、しっかりとゴア描写もあって良かったです。クライマックスの殺陣は、正直物語上別に戦わなくてもいいのでは…と思ったというか、どうしてもいくらすごいアクションでも展開上あまりカタルシスのない戦いなのでそこは不満ですが、アクションシーン自体は素晴らしかったです。あと最後の最後の杉咲花ちゃんのある行動にすごく頭に来たりしましたが、まぁ良しとしましょう。。
この映画、一番素晴らしかったのは正直モノクロで描かれる本格時代劇のようなアバンタイトルだったりするんですよね。そこがほんっとに素晴らしくて三池作品のなかでもトップレベルに素晴らしいシークエンスになっているので、そこから一気にザ・アニメ原作映画的なビジュアルに変身するそこからの展開は正直残念だったなぁと。どうせならあのままのトーンとリアリティラインで最後まで行ってほしかったくらいですが、そこは前述したように、序盤でやりたい時代劇を描いて、そこからは「ヤレヤレ」と少女の願いを聞くキムタク演じる万次のように、製作側の要望を入れ込んで「ヤレヤレ」と仕事をしていく、三池崇史であったのではないでしょうか。
明らかに近作の中では三池さんの熱量が違う一本でしたし、アクションは圧倒的ですし、キムタクも杉咲花ちゃんがとても良かった。おもしろかったです。


