「残念なことに、変革以前の貴国には独裁体制があり、その統治が強固なだけに、識者の間には、政権交代は暴力革命になるかもしれないとの指摘もあった。ところが、貴国の民衆は、混乱はあったものの、できる限り暴力の拡大を防ぎ、自由を勝ち取りました」(同)
これに先立つ平成二年一月一日付「聖教新聞」には、池田氏が過去に対談した「識者との対話」の一覧表が掲載されていたが、そこからはチャウシェスクとノリエガの名前が削除されていた。
また、ルーマニア大使と会談した後の一月十五日に行われた創価学会の神奈川県青年学生代表者会議の席上でも、池田氏は、
「大統領のように一国の頂点に立つことにあこがれる人もいる。しかし、栄華を誇った人生の最終章を、銃殺刑という悲劇で閉じた例もあった。社会的立場や評価というものは、実に変転極まりない」(「聖教新聞」平成二年一月十七日付)
と、悪しき人生の事例としてチャウシェスクを引き合いに出したのである。}