初心 | 岡本太郎のブログ

初心

ワークショップをデザインし、ファシリテーションをする仕事がある。


 ○○部のビジョンを作りたい、

 わが社の戦略を、役員全員で作りたい

 若手社員に組織の課題について解決案を作らせたい・・・などなど


ワークショップと一言でいっても、様々なクライアント、様々なテーマがある。




私は、クライアントの要望を聞き、ワークショップのアジェンダを決め、必要な資料、事前課題をデザインする。


当日のワークショップでは、ファシリテーターとして、プロセスを効率的に進める役割を持つ


ファシリテーターは、中立的な立場で、プロセスを管理し、クライアントのチームワークを醸成しつつ、最大の成果を作り出すための支援を行う人

(組織開発ハンドブック)



私は、ファシリテーターとして、クライアントと関わる。



先日のワークショップでの一コマ。


かお 組織開発って何ですか?


瞑想にふける 決まった定義はありません。何なんでしょうね~。


かお 組織を一つの生命体と捉えると、そうだなー、医者みたいなもの?


瞑想にふける そうかもしれませんね~。 

   (ホワイトボードに「組織=生命体」、「組織開発=医者」と書く)


かお うーん、医者だと悪いところを直すっていう印象だからなぁー。

   カウンセラーみたいなものかも?


瞑想にふける そうかもしれませんね~。カウンセラーですね。

   (ホワイトボードに「カウンセラー」を付け加える)


かお 一体、組織開発って何なんですか?


瞑想にふける 何なんでしょうかね~。


   ところで、組織が開発しきれた状態って想像できます?どんな状態?

   そのとき、組織開発の役割って終わるのでしょうか?

   そして、私たちの存在はなくなるのでしょうか?




いつもこんな感じ。クライアントの質問に答えない。答えたくなる衝動に駆られることがあるが、敢えて答えない。

私はクライアントへ質問という「働きかけ」でコンサルティングフィーをいただく。働きかけが私の提供する商品/サービスだ。


「実は答えを持っていないのだろう」、と疑う人もいる。


もちろん仮説という答えは考える。ただ、答えは持たない。仮説も考えるが、拘らない。というか、捨てる。



1日のワークショップを準備するために、詳細に当日の進め方をイメージする。


~あの会社で、あのメンバーであれば、このあたりで迷うはず。この知識や情報をほしがるはず。だとしたら、この情報をこのタイミングでこの深さで共有する必要があるだろう。ただし、この疑問が現れたら、補足情報として提供しよう~


準備の段階は、頭の中が雑音でいっぱいになる。「論理的に飛躍がある」「その情報はいらないだろう?」「アジェンダはなぜその順番なのか?」「○○の意味が分かりにくい」「このアジェンダでは参加者が疲れる」、、、自分の声、クライアントの声が頭の中にこだまする。一つ一つの声にこたえながら、準備を進める。


そして頭の中がシーンとして、静かな水面のようなイメージが出来たとき、準備が完了する。ワークショップ当日の朝、これまで準備したものへのこだわりを一切捨て、臨む。



「こだわり」捨てることが自然と出来るようになったのはごく最近のこと。想いを込めた準備であればあるほど、「こだわり」も強くなる。




初心


この言葉を信じ、一切のこだわりをすて、ピュアに相手と対話する。


そこから、想像し得なかったダイナミックなプロセスで、クライアントが心から欲しかった成果を手に入れる。何度も経験した。




芸術なんてもの、それを捨てたところから、開けるものなんだ。

(壁を破る言葉 岡本太郎)




初心。一切のこだわりを捨てて対峙せよ。





「Be TARO」

岡本太郎