衝撃的なニュース。世界のオザワが逝った。

 

ロームシアター改修後の記念コンサートで小澤征爾が指揮することを知り、チケットを探したら一番安い席でも3万とかで諦めた記憶が。一度、世界のオザワを間近で体感してみたかった。

 

指揮は音楽を、オーケストラを化けさせる。ビフォーアフターの違いが歴然、というのを、小澤征爾を特集した番組で何度も見た。今の世代にとってはもう音楽の教科書の人でしかないカラヤンに師事したというから、指揮者界の生き字引みたいな存在かな。

 

私の恩師のタッキーも尊敬する小澤征爾。

タッキーもめちゃくちゃ熱くタクトを振る顧問だった。世界的な指揮者を意識してのことだったのか、表情や呼吸、身振り、けっこう「圧」も感じたけど(クラリネットで前列だったから)、タッキーの指揮は緊張感に加えて高揚感が湧き上がってきた。ただただ合奏しているというのとは違って、身体が踊り出すように音楽に乗れるというか、アドレナリンが噴出してくる感じ。とにかく指揮ひとつで演奏は生きたものに変わる。

タッキーは歌もピアノも迫力あったけど、指揮の腕も業界では評価が高かったらしく、他校の吹奏楽部の友達からもうらやましがられた。高校に入って、吹奏楽部では実質、技術指導ができる顧問がおらず、アマで続けていたOBが指揮をしていたけど、「何か違う」「何か物足りない」と感じたのは確か。

Rioの中学時代の担任だった比較的若い音楽の先生がタッキーをご存じで、大先輩でお世話になったというのを聞き、ああ、ちゃんと受け継がれてるんだと嬉しかった。

 

小澤征爾さんも後進の指導に力を注いできた人。小澤征爾音楽塾は続いていくのかな。

 

満州生まれの人は、ものすごいバイタリティを持っていると感じる。私が職場で尊敬するOBも満州生まれ。音楽家や作家も多い。その人達に共通しているのが、引き揚げられず大陸で亡くなった仲間への哀悼、自分もそうなっていたもしれないという思い、引き揚げてからの苦しい体験、そういう壮絶な過去が、特別な世界観を創るのだろうと思う。

 

世界のオザワを失っても、小澤征爾の音楽は永遠。合掌。