バリの野生の樹々にはとてつもない生命力とエネルギーが溢れている。大きな太陽と海だけでなく、この大きな樹木たちが、人々の心を惹きつけてやまない。

広々とした木陰を作ってくれるので、そこで地元の住民がござを敷いてお喋りしたり、子ども達がぶらんこで遊んだり、野犬までもが(おとなしいよ)昼寝したりできる、大事な大事な憩いの場になる。

 

 

日本は地震も台風も多いから、樹齢が長くなると倒木の危険性もあって伐採せざるを得なくなるし、根が伸びすぎたりバランスが保てなくなったりすれば枝も剪られるけど、バリの樹はお化けみたいに枝も葉も伸び放題。

インドネシアも地震大国で、私の任期中にもスマトラ島沖地震やジャワ島中部地震があって、津波も記録されている。当時バリ人は、「私達が毎日お祈りしていて神様が守ってくれるからバリ島では津波が起きませんよ」などと非科学的なことを大真面目に答えていたけれど、いやいや、スマトラもジャワも毎日お祈りしてるやん、しかも5回も!その後も、あまり対策が講じられているようには見えない。

 

だけど、これほどまでに太く長く曲がりくねった枝が、その重みで折れる様子もなくそびえ立っている姿を見ると、本当に神が宿っているように感じるし、危険が迫ってもびくともしないんじゃないかとさえ思えてしまう。根っこ、どんだけ強くてどこまで伸びてるんだろうか。

 


近年はウブド近郊の棚田や渓谷に、巨大スウィングで大自然にダイブするとかいう撮影スポットがいくつも造られている。それも名前がアロハなんちゃらとか、ウェディングフォトでもないのにドレス着るとか、「大自然」を売りにしながらどこまでも人工的で、演出が謎すぎるえー

どうかサヌールはそうならないで欲しいと願う。巨木にロープで吊るされただけの自然ぶらんこのほうがずっと美しい。

 

観光資源しか持たない島の広報戦略だというのは分かるけど、一時的な話題性でお金を落としてもらうよりも、入島税でも入浜料でも入林料でも、堂々と取ってくれるほうがいい。それでバリの美しいビーチや森が保たれるのなら、観光客は喜んで払うと思う。