去年の春に、日本の地上波でも放映された日台合作ドラマ「路(ルウ)~台湾エクスプレス~」の原作。

 

 

ドラマのほうは、正直ちょっと陳腐な恋愛ドラマになってしまっていて、実際酷評されていたようだけど(役者は魅力的な人たち使ってたのにもったいない…)、原作は台湾で大きな話題を呼んだと評判だったので、図書館で検索。ドラマの影響もあったのか、8ヶ月待ってようやく回ってきた。

 

原作の『路』は面白かった。台湾新幹線開通までの経緯や、内情がよく分かった。日本人と台湾人の働き方、「予定」の捉え方、etc.、台湾の人々の日常や人柄など、幅広い世代の日本人、台湾人の人間関係を交えながら、2000年~2007年までを描いた小説。

一昨年の秋に台湾に行った時、台北~台南間をその台湾高鐵で移動した。日本の新幹線とまるで変わらない内装や乗り心地だったけど、欧州のシステムと、日本の鉄道技術と、台湾の人材を集結させた大プロジェクトだったことを知った。それだけ多種多様な文化背景を持った人間の集まりだから、完成に至るまでの過程は本当に大変だったのだろうと想像できる。

 

当時の日本では、初めて日本の新幹線が海外で走るという割に、「純日本製」ではないことや遅れに遅れたスケジュール、中国大陸への配慮、いろんなことがあって大々的に報道がなされなかったという。確かに私もほとんど記憶にない。開通の時はRioの妊娠~出産で、まともにニュースも見てなかったんだと思うけど。

 

同世代(つまりモロ氷河期)の主人公の気持ちのいい性格や仕事っぷりも、ドラマと違ってよく描かれていたし、登場人物や設定はフィクションにしろ、当時、経済低迷期の日本でも、こんな大きなプロジェクトで一国の未来の経済を担う仕事をしていた人達が確実にいたのだと思うと、ちょっとした感動を覚える。

 

ドラマ見てない人にも、見てちょっとがっかりした人にも、原作はお勧めです。