今回は、無駄に長く、細かいです。

なんでか。

一番めんどくさかった一日だったから!!!

ほんまにここの病院で嫌な思いをしたのは、

この日だったと思う。

 

面会時間ギリギリまで、嫁が居てくれた。

仕事場からバイクで飛ばして来てくれて、なんとかギリギリ面会時間。でも、看護師から「もう面会終わり、早くでてください!」って怒られて、わずか数分の面会だった。

じゃあと見送りに裏口に出て、少し話していると、

警備員「ちょっと、もう閉めるから早く入って!」

と言われ、

・・・そうか、ほんならしめんかい!!朝までここでおったるわ。お前朝までにらめつけといたるから覚悟せーや。

っと思いっきり警備室のドアを蹴っても、さすがにびくともしないドア。

嫁がとても気を使って帰って、警備室には「こら、お前何時までじゃ、上がりの時いてもーたるからな。ほんまちょーしのんなこら」

とやからを言いながら渋々病室へ。

 

個室。テレビをどうも見る気になれない。

窓から外は綺麗とは言えない枚方の町並み。

 

ごめんね、枚方。

汚れているのは俺の目か、心か。

 

なんちゃって。センチメンタル。

 

そんなことを思いながら、寝たのは深夜だった。

 

朝6時、みんな起き出す。早いのね。

おいら、寝不足。。。(-.-)

 

はあー、昨日は腹が立つことばっかりで、なんだろう、

すごいやさぐれた気がするなぁ。

 

大体、こんだけ喧嘩っぱやくて、やからこいて、

さあ-、これからどうする?

 

朝ご飯、

病院飯。

噂に聞いていた「くさくてうすくてまずい」

 

結論から言うとですね。

まあ、薄いけど、そこまでまずくはないですよ。

って言うか、結構美味しいです。

想像していた不味さなんてなくて、ある意味期待を裏切られた感じ(笑)

なーんてグルメリポ気取って完食して、

 

今日はなにやら予定がいっぱい。

 

ええと、昨日嫌々聞いた話では、

診察が午前中一番にあるから、病室にいてね。と。

で、その後血液検査とMRIを取って、

何より、いきなり来たので、色々足りないんよね。服とか。

パンツとシャツはあるものの、ズボンも一着。

なんせ、救急搬送されたときに、服全部切られたのよねえ。

午後から、買い物行こうかな。

あ、明日は休みやから、嫁も来るし、今日ちょっと見に行って、明日本格的に揃えて、ほんで来週一時退院やし、、、

 

よーし!なんか知らんけど、やる気出て来た!

 

9時半

 

うーん、朝一って一体何時なんやろ?なんか部屋から出るなみたいな感じやったけど、のど渇いたし、ジュースも買いに行きにくいなぁ。

 

10時半

 

なー?遅いって感じる俺がちゃうんかな?

いやー、でもこの後午前中に検査って言うてたけど、、、大丈夫?

 

11時半

 

もう、ご飯来るんやけど。。。

さすがに看護師に聞こう、

どないなってるんですー?

看護師「今忙しいんで、あとで聞いときます」

あ、そう、たのんます。

 

12時半

 

飯も食ったけど、シャワー行きたいんやけど、、、

看護師「診察待ちだからだめ」

いや、せやからさっきのはどうなったの?

看護師「忙しいので、まだ聞いてません」

ちゃうやん、ちょっとどれくらいなりそうなんか見通し聞いたりでけへんの?担当3人も先生居てるやんか。

看護師「私には判断出来ませんから、先生に言うて下さい」

その先生呼んでよ。

看護師「今私呼べないんです。忙しいので」

ほんなら外出るで。

看護師「ちっ・・・」

お前、いま舌打ちしたよな?

看護師「はい、すいませーーーーーーーん」

・・・はあ。もうええわ。疲れる。

 

13時半

谷口医師「すみませーん、石原さん、お待たせしてしまいまして!」

いや、お待たせするんならするで、どれぐらいなるのか言うてよ。買い物行きたいんですよ。午前中っていうからコンビニも行ってないのに。

 

谷口「いやー、あれー?おっかしいなぁ。今日午前中に手術が入ったので、看護部へ連絡してたんですがね。」

 

いやいやいやいや、ナースステーション行ったけど全然やったで。

 

谷口「申し訳ありません、きちんと帰りに注意させて頂きます」

 

そうして、いらっとするで。先生やからキレへんけど、昨日のあの変なやつやったら暴れるわ。

 

谷口「あはは、元気ですよね。石原さん、さて、今日なんですが、午前中の緊急の手術の関係で検査がずれてしまいまして、石原さんの時間が、夜になってしまったんです。8時30分に臨時枠で作らせて頂き、そこで検査させて頂きたいのです」

 

まあ仕方ないね。その間は出ても良いの?

 

谷口「あ、それは結構ですよ。一時間だけにして欲しいんです。」

 

え?なんで

 

谷口「実は今日の検査もう、この後もしも空きが出て早く出来れば、入って貰いたいんですが、その時に何か飲食されるとまずいので」

 

うーん、わかりました。

 

二時半、

 

外出許可が、、、こない。。。

 

三時半、

 

許可が、、、こねぇ。

 

看護師さん、まじで外出許可まだ?

 

看護師「さあ、私は聞いていないので」

 

結局、外出許可は来ず、、、

6時過ぎ、嫁が来て、7時までゆっくり喋った。

そこへ、なんと嫁のお父さんが登場。

 

父上「大変やな。。。」

 

すみません。

って言うのも、嫁のお母さんは、嫁が中学の時に、胃がんで亡くなっている。闘病は5年に及び、壮絶だったそう。

おそらく、その自分の体験を娘にさせるのが辛いんだと思った。

 

そのお父さんが来てすぐ、

看護師「石原さーん、検査ですー。」

 

え?8時半やろ?

 

看護師「いえ、もう呼ばれたからー、いってきてー、」

 

ええ~~?まあ、そんなに時間のかかる検査ちゃうやろから、また帰ってきますー。すんません、せっかく来て貰ったのにー。

 

父上「いや、とにかく検査はちゃんとせんとな。ちょっと待ってるわ」

 

すんませーん、

じゃあいってきますー。

 

検査室に行くと、なんやカルテみたいなんを出して。

すると、

 

検査のひと「あれ?石原さん8時半ですよ?」

 

いや、看護師さんが呼んだって。呼ばれな来るわけないでしょう・

 

検査の人「ええ~?困ったなぁ。まあとりあえず座ってて」

 

は?なんなの?

どうなってるわけ?

なんなんなんなん?

 

検査の人「なんか石原さんもう来てもうてるんですけど、誰が呼んだん?どうするん?入れる?」

 

丸聞こえやで。

 

検査の人「石原さん、ちょっと待っててね。」

 

なんでやねん、お前らが呼んどいて、なんでまた待つねん。

今日はお父さんも来てるから、とりあえずはよしてや。

 

検査の人「わがまま言わない!」

 

ぶっちーん。

 

わがままてなんじゃこら。お前ほんまいてもうたろか!

なんで午前中の検査が夜までかかって、その間の外出はでんで、なんの連絡もあらへんで、こんど面会中に呼びつけてこんどかえらさんって、

 

(超でっかい声で)

おどれらどないなっとるんじゃー!!!!

 

ぶちぎれの俺の声に、近くの患者が「にいちゃんうるさいわ」

っと近づいて来たので、にらみつけたら、

腰抜かしてしまった。

 

きっと、このときの俺の顔は、怒りに震えていたんだと思った。

 

そして、この怒りは、

病院の対応より、

 

自分に、

 

まだ30なったばかりの自分が、なんで癌なんて病気になってしまったのか、

 

昨年、結婚したばっかりなのに、、、

 

なんで、、、こんな。。。

 

昨日からイライラして、あたり散らしていたのか、

 

俺は、自分に、

 

ぶちぎれていたんだ。

 

 

腰を抜かしたおじさんを一瞥、

 

黙って検査室前で待ち、

 

呼ばれたのは、8時半。

 

病室へ戻ると、嫁からメールが。

 

「今日はなんかイライラしていたね、辛いんだね。でも大丈夫だよ、また明日お昼に来るからね、今日はゆっくり寝てね。」

 

病気になって、三日目。

 

初めて涙がこぼれた。

 

一番辛いのは、俺か、

 

違う、嫁なんや。

 

すまん。ほんまに、すまん。

 

泣いても、泣いても、止まらなくて、

 

この日だけは、個室でよかった。

 

同時に、初めて真面目に、考えた。

 

俺は、癌なんやな。死ぬかも、しれへんねんな。

 

 

 

※この闘病記は2011年に罹った胚細胞腫瘍について、残してあった日記をもとに今書いています。

一部当時の感情をそのまま載せていますので、色が付いていることがあります。