4月1日
大山田川商店会競馬サークル【外伝】〜ケイサクの万馬券とドバイ〜

場末の純喫茶エンゼル
〜♪
「いらっしゃ〜い…って、お揃いでどうしたんですか?」
「ケイサクの奢りで昼飯や( ̄ー ̄)」
「万馬券獲ったら何故かこういうことなんすよ」
「何にしようなぁ〜…って、メニューないんですよね?」
この店にはメニューがない
とりあえず食べたいものを言うと
なんとか応え、なにかしら出てくる

「まずは先輩からどーぞ」
「あ、俺は決まってるから…マスターいつもの…」
「すみません、今日、太パスタがないんですよ」
「へ?パスタがない…」
「いえ、太いのがないんで、細いのはあります」
マスターの話によると
あんかけスパは太パスタの方が美味しいらしく
細パスタでは作らないこだわりがあるらしい

「ペペロンチーノとかは?」
「大丈夫です!」
「んじゃ、ペペロンチーノ…いや、もしかしてバジリコとかできる?」
「あ〜、できます(^^)」
「じゃ、バジリコで」
「バジリコ?」
よーこが食いついた
「ジェノベーゼじゃないんですか?」
「ジェノベーゼは少し時間かかるんで勘弁して下さい(^_^;)」
「違いがわかりません…バジリコでお願いします」

「ケイサクさんは?」
「ハンバーグランチお願いします」
「はいよっ!」
「実はうちの店の肉を使ってくれてるんすよ(^^)」
「は?知らんかったなぁ…商売上手やなぁ」
ケイサクの店、二本柳精肉店は質が良いと評判なのだ

「なら、わしんとこの魚も使ってくれよ」
「は?ちゃんと頭下げて営業に来いや」
タイゾーが憮然とする
「お二人は本当に仲が良いんですね(^^)」

「タイゾー、早よ注文言えや」
「おお!ビッグマックや!」
「帰れ!」
「漫才見てるみたい…」
「お前もハンバーグランチにしとけ」
「なんでや?」
「いっぺんにできる」
「なら、ハンバーグでええわ」
「おお!」

「ドバイ…ルメール落馬したね」
「桜花賞がチェルヴィニア、皐月賞はレガレイラ…どうなるんすかね」
「わからないね…大きな怪我じゃないといいけど…俺達が気を揉んでも仕方ないし…早く復帰できるように祈るさ」

「ルメールも気になるけど、勝ったのはフォーエバーヤングだけだった」
「なんか勝つだろう、勝つのが当たり前みたいな風潮になってないすかね」
「まぁ、ドウデュースとかリバティアイランドがいたからね」

「でも、ナミュールちゃん凄く頑張りましたよね…惜しい2着」
「ほんまやなぁ…」
「私、頭にくることがひとつあって…」
「なに?」
「日本の実況がスタートから道中、一度もナミュールちゃんの名前言ってないんですよ!考えられます!?」
「…」
この感じのよーこが出現すると全員が無言になる
「日本からわざわざ行ってるんですよ!」
「…」
「ドウデュースと対等に扱えとまでは言いませんけど」
「…」
「逃げたマテンロウスカイは呼ばれて当然ですけど」
「…」
「ダノンベルーガが1回か2回だけ…」
「…」
「外国の馬の位置取りとか言ってるのに、ナミュールちゃんは位置取りさえ言われない!」
「…」
「出てるの知らなかったんじゃないですかね!」
「…」
「勝った馬が抜け出して、そこにナミュールちゃんが競りかけた時に初めて名前言いましたよ」
「…」
「直線で追い上げて来たときも気付きもしない実況!!」
「…」
「ゴールしても体勢有利だった勝馬の名前ばっかり言ってるし」
「…」
「"ナミュールよく頑張った"くらい言えないんですかね?!」
「…」
「普通のレースならいいと思いますけど、違うだろ!って話ですよ!!」
「…」
「ゴール写真見ましたけど、"短アタマ差"…これもよくわかんないですけど」
「…」
「あんなの"顔の大きさの差"ですよ」
「…」
「ナミュールちゃんは小顔だから…」
「…」
「あれ?どうしました?皆さん…」
「いや、気が済むまでと思って(^_^;)」

「はい、お待たせぇ〜」
パスタが来て落ち着いた…

「さっき、マテンロウスカイって言ってました?」
マスターがカウンターから声をかける
「はい、ナミュールちゃんと一緒に出てました」
「マテンロウってことは、横山典さんですか?」
「そうです、逃げました…あ、典さんがどこかへ逃げたんじゃないんですよ(^_^;)」
「それくらいわかりますよ(笑)…」
「どうしました?」
「いや、ドバイと典さんで…」
「ホクトベガですか?」
「さすがよーこさん!そうです…ホクトベガ」
「"ベガはベガでもホクトベガ"でっか?」
タイゾーが口を挟むとよーこが横目で睨む
タイゾーは気付かないが、今はそういう話ではない

「死んじゃったんですよね…ドバイで…」
さすがにタイゾーも口を閉じた
「切ないですね…」
「外国で死ぬのって寂しいんでしょうね…」
「そうですね…」
「私しばらく落ち込んでました…今でも忘れません」
「…」
「中央、地方、海外…40戦以上戦っていたんですよ…」
「本当に頑張りました…ホクトベガ」
「馬も人も無事が一番なんです…」

【安西美穂子】厩舎(おうち)に帰ろう

「はい、お待ち"ハンバーグランチ"」
「ん?なんでわしの方はライスやのーて、この丸いパンなんや?」
「おお、そのパンにハンバーグ挟んで食え」
「は?」
「ビッグマックや( ̄ー ̄)!」
「…」

tarezo…(^。^)y-.。o○