電車の中でとてもヅラの人に出会った。

ヅラだとわかるヅラだ。

もともと生えている古参者たちとは明らかに色の違う新参者が彼の頭に乗っている。


世間は ヅラ をタブーのように扱う。
私ももちろんタブー視している。

見てはいけない、気づいてはいけない、受取手はそう思っている。

被る方も気づかせない配慮を願う。

たとえば質感は仕方がない、やはり人工物なのだから天然物にナチュラルさが勝ることはない。


しかし、髪色はどうだろう髪型はどうだろう。

彼は齢を想定するに60歳過ぎと思われるが、
頭だけまるで、スクリーンから飛び出してきた山崎賢人のようだ。



これは違和感以外の何者でもない。


私は思った。
ヅラをかぶっていることがダメなのではなく、明らかな違和感を被って涼しい顔をしているのがダメなのだ。


女子高生がでぃ◯にーらんどの耳を当然のようにつけて通学していたらそれは変だろう。




そんな俳優らしからぬ、力の無さを感じる山崎賢人は五反田で寂しそうな背中で降りて行った。