2024年6月25日(火)


 明日は、本社上層部と会議になった。

数日前、本社の事務員から連絡があった時、予想が当たったと電話口で小さくガッツポーズをした。

私、天才💖


舅にお願いして、◎◎◎病院へ連れて行ってもらう。検査が終われば、迎えに来てもらうことになった。


9時、入り口にある車椅子に乗り、受付窓口に予約票を渡す。受付の端に、マイナ保険証の読み取り機が置いてある。最近どこの病院でも見かけるので、ちょっと気になっていた。


「あのー、マイナ保険証を登録したんですが、上手く使えるかその機械で試してもよろしいですか?」

「どうぞ、お試しください。」


顔写真を表にしてマイナンバーカードをカードリーダーの中に入れる。受付嬢が、機械を下に傾けて、私の顔を撮ってくれた。

本人確認に答えた後、画面に"高額療養費制度を利用しますか"という案内が出た。


あれ?受付に、予約票と一緒に高額療養費支給申請書も渡したぞ?


「あの、今画面に"高額療養費制度を利用しますか"と出ていますが、このまま手続きできますか?」

「えっ?そうなんですか?」


受付嬢は驚いて、手元のパソコンを確認する。


「そうですね、画面に表示されてますね。手続きしてみます。

…あ、けろ様の標準報酬月額が出てきました。大丈夫です。このまま進めますね。

……これで、高額療養費の手続きが出来るんですねぇ。」


え?今まで知らんかったん?誰も使わへんかったん?


預けた書類は破棄してもらった。

私の仕事は、本社は他府県にある小さなグループ会社の経理・総務担当だ。

今までは、入院する社員に書類を渡して、諸手続きを行う側だった。

実は今回、当事者になったので、実践編やなと楽しみにしていたのだ。


次に長期入院する人が出てきたら、マイナ保険証で手続きを簡略化できるでと教えてあげよう👍


検査の準備ができたので、各部屋へ移動していく。


①採血

②採尿

③心電図

④呼吸機能検査

⑤下肢の血流・血栓チェックのエコー検査


①②は説明省略。


③心電図

薄暗い診察室の奥にある、狭い部屋へ案内される。

窓のカーテンが閉めてある。蛍光灯が一つだけ点いていた。経費節約かな?

ベッドがあって、人が2人横に並べるかどうかの狭さだ。奥も黒いカーテンで締め切っている。

何の検査か聞いていないので、更に不安が高まる。

黒いカーテンから女性が出てきて、病室まで車椅子を押してくれた看護師と引き継ぎをした。

担当看護師は、私をベッドに寝かせた後、黒いカーテンの中から心電計を出してきた。

簡単な説明の後、心電図をとった。


④呼吸機能検査

心電計をカーテン奥に片付けると、今度はFAX付き電話機のような物を出してきた。

スパイロメーターというらしい。(後で調べた)

肺活量を測定するとのこと。

数値で肺の機能障害などが分かるらしい。

座り直して、お手本を見せてもらう。

受話器の位置に、一回り小さいトイレットペーパーの芯みたいな筒を刺して、吐き出した息を測定する。

筒を差し替えて、私も挑戦。弱く長く吐く息と、力いっぱい短く吐く息の2種類を測定した。


⑤下肢の血流・血栓チェックのエコー検査

スパイロメーターを片付けに行ったので、これで終わりかと思ったら、入れ替わって、男性が別のキャスター付きの機械を持ってきた。

血栓のチェックをしますとのこと。

私が太っているからかな?と思っていると、


「手術中は麻酔で寝たきりで、手術後は動けなくて足に血栓ができやすいので、もとから血栓がある方だとエコノミークラス症候群の危険性が高まります。

血栓のあるなしと、血管の弾力をエコー検査で確認します。

血栓が見つかれば、手術が中止になるかもしれません。」


と説明した。

エコー検査なんて妊娠と乳がん検診以来やんと、ワクワクする。

技師がカーテン内に入ると、再度横になってスカートを脱ぎ、下半身にバスタオルをかけてから、技師を呼び戻す。

ゼリーを鼠径部近くに塗って、横幅が広いパッド(プローブ)を上下左右に広げる。

私はくすぐったがりなので、内ももにゼリーとパッドをグリグリされたらたまらない。笑いを堪えて画面を見る。

ザッザッザッ…と血液の流れる音に合わせて、赤と青の光が交互に点滅する。

これは何、あれは何と質問するので、モニターを見やすい角度に変えてくれた。

鼠径部のゼリーを拭いて座り直すと、次は膝裏のエコー検査を始めた。


「赤い光の点滅が動脈を流れる血液で、青い点滅が静脈を流れる血液です。太い血管と毛細血管がわかりますか?

血管の断面を確認して血栓を探したり、血管の弾力も見ることができるんですよ。」


と、ふくらはぎを押したり戻したりする動きに合わせて、丸い穴がぷにぷにと動く。水道のホースを押し潰した形になるが、他の血管との組み合わせで人の口がパクパクしているように見える。ホラー寄りのLINEスタンプみたいだ。


技師は検査が終わると、機械を片付けに行った。カーテン裏に入っている間に、残ったゼリーを拭いてスカートを履いた。


着替えを確認してから、今日はこれで終わりですと言われた。


舅に迎えに来てもらって、そのまま○○○クリニックへ急ぐ。

既に午後になっていた。


検査終了を担当医に伝えると、医師は手術後の装具のサイズを見るからと言って、診察台に座るよう指示した。

看護師が黒くて長い装具を持ってくる。

幅広のウレタンパッド2枚に、それぞれ2本ずつバンドが取り付けてあり、両脇が薄手のプラスチックで繋がっていた。関節部分が曲がるようだ。

足に巻きつけると、お尻の少し下から足首近くの長さだった。


「サイズは合っていますね。術後、この装具をつけていただきます。

申し訳ありませんが、装具は退院後、全額買取になります。けろさんはお勤めされているので、後日、保険証発行元に治療用装具の支給申請ができます。最終的には3割負担で残りが戻ってきますよ。

ちょっと高いんですけどね。」


ほぼ3万円やん‼️


「あと、この間足の長さを撮ったレントゲンですが、膝が伸び切っていないので、もう一度撮り直しますね。前の診察で注射した痛み止めは、まだ効いているでしょう。」


うそやーん💦

装具代と合わせて眩暈がしてきた。


あからさまに嫌そうな顔をすると、


「骨切り術は、骨に楔の付いたプレートを差し込む分、右足の脛の長さが若干長くなります。

そのため、初めにできるだけ正確な足の長さを測定しないと、左右の足の長さの差が大きくなってしまうんです。」


せっかく手術をしたのに足が不揃いなのは嫌なので、渋々レントゲン室に向かう。

レントゲン台に設置された階段が、処刑台に向かう階段に見える。


前回同様、階段を登り切ってから回れ右をして、スカートを捲り上げた。すっかり開き直って、これでもかと膝を伸ばす。


技師は、大正時代の写真館で見るようなカメラを、私の正面床に置いた。レントゲンのカメラって小型もあるんやな。あーでもない、こーでもないと角度を微調整する時間が、痛みでむかつく💢

やっと角度が決まって、画像を撮り終わった。


これで半月板、もっと痛むんじゃね?


診察室に戻ると、A4サイズの封筒を渡された。

中に入院案内と、数種類の承諾書、アメニティの申込書が入っていた。

入院案内をよく読んで、入院当日に各種書類に記入の上、押印してくださいとのこと。


病院を出ると、16時を廻っていた。