「許す」と聞くとどんなことを思い浮かべるでしょうか。
失敗を許してもらったとき、とてもホッとします。
つぎは同じことがないようにと、気をひきしめます。
許してもらうことは嬉しいものです。
しかし、人を許すことは容易にできないことが多いです。
ひどいことを言われた。
理不尽な態度をとられた。
朝の通勤電車や職場、スーパーや病院、家の中にも「許せない」と思うできごとは多発します。
昔、私はいわゆるパワハラに苦しむ日々を送っていた時期がありました。
毎日毎日、決して生涯許すまいと硬く心に決め、「ろくな死に方できないぞ」と相手を呪っておりました。
やがて幸いなことにその相手が離れていき、苦しい日々から解放されました。 しばらくはあれこれ思い出しては、忘れるまい、許すまいと考えていました。
そう思い続けることで、相手は何かしら罰をうけ、不幸になるだろうとどこかで信じていたのです。
しかし、それは嫌な気分を繰り返し味わい、もういない相手と「許さない」という関係をつないでしまうことにほかなりません。
私は一人で「あなたを許します」と言ってみました。
心は伴わず言葉だけでしたが、思い出すたび「あなたを許します」と言いました。
その瞬間にどこかで相手が後悔の念にかられて、涙を流すわけではありません。
こりもせずどこかで誰かを苦しめているかもしれないし、すごく良い待遇の中で快適に過ごしているかもしれません。
でも、そんなこと
どうでもいいのです。
私が勝手に相手を許すと決め、関係を手放すことで、私は本当に自由になれたのです。
いつの間にか完全に過ぎ去ったできごとになり、思い出すことがあっても苦しくなったり、怒りがこみあげることもなくなりました。
相手が幸せでいてくれたらいいなとも思えるようになりました。
だって本当に幸せな人はパワハラなんかしないはずですから。
「憎しみからは何も生まれない」とどこかで読んだか、聞いたかしたことがあります。
「許さない」は
「相手を許そうとする自分を許さない」ことなのかもしれません。
許す生き方
許さない生き方
自分自身の幸せのためにどちらを選択しますか?