なんていう美しい映像なんだろうかと驚いた。
濡れてにじんだ街。
博多の祭りの熱。
美しい絵が生々しく生きている。
それなのに少し不安で泣き出しそうだ。
石井岳龍監督作品は「バーストシティ」や「狂い咲きサンダーロード」など
爆発的な作品が好きで観ていたが「水の中の八月」は見ていなかった。
「エンジェルダスト」を公開当時見た時によくわからなくて、その時は
静かな作品は自分には合わないのかと思ってその後、遠ざかっていた。
「水の中の八月」の制作年は1995年。
改めて驚いた。30年も前のお話なのだ。
1999年に世界が終ると信じて、心のどこかで望んでいて
そういう残酷で無邪気な感性にゆらぎながら
大人のようなものになりつつあった私もあの時、
あの景色を見ていたような気がする。
不思議な夢のような景色
懐かしいような切ないような気持ちになった。
世界は終わらなかったけれど、みずみずしくて痛々しい青春は
すっかり忘れ去られていた。
でもこうしてかつての輝きが星の様に届いて
過去が今を抱きしめてくれる。
美しいと思える感性が今の私にも残っていると気づかせてもらった。

