加賀まりこが信じられないくらい可愛かった。
この異星人のようなヒロイン冴子の可愛らしさが私にとって見どころだった。
ヤクザ映画と聞いて自分がイメージするするものとは本作は違っていた。
暴力や怒号などはあまりなく、オッサンたちは賭博場でたんたんと打ち、
組長達は歯がガタガタで似つかわしくない高級レストランで音立ててスープを啜っている。
上の人間は全く魅力がない。
その中でイケメン主人公村木は異質な存在に映る。
下の人間にはモテる。アニキ、と言って慕われる。
しかし組織に対しては流れるまま従事ながら何の目的も意味も見当たらない。
モヤモヤとしている。
村木と共鳴するかのように突然現れるのが冴子だ。
賭博師の掛け声とひしめき合うオッサンたちが花札を弾く音が呪術の様に鳴り続ける長い座敷の
真ん中で一人シャネルスーツを着た冴子のとんでもない異物感。
無表情でハンドバッグから大金を次々出していく。
真夜中オープンカーで猛スピードカーチェイス。
スリルの絶頂で恍惚の笑みを一瞬みせる。
刺激を求めて危険に突き進む冴子は虚無の塊のようだ。
天使でも悪魔でもない。
過去も未来もない。
ただ今に発生し続けている。
冴子はこの物語の中でたった一人生きている。
閃光を放ってどこかへ向かっている。
村木には冴子の扱い方も繋がり方もわからない。
冴子は村木のモヤモヤの中から生まれた花なのだと思う。
加賀まりこは当時、20歳くらいだけど15歳くらいに見える。
そこもヤクザ社会との違和感が増していて、ただ可愛い女の子というのではなくて
私には阿修羅像の神々しさが見えた。
篠田正浩監督の奥様、岩下志麻さんの本
この本の著者、春日太一さんのお話が面白くて
篠田監督作品に興味を持ったのでした。

