原作の川端康成の「無言」を行きの車中で読みました。10分で読めるくらいの短編です。小説は怪談ものに類別されるみたいですが、わたしは単なる怪奇な話ではなく、人間の個々のあり方みたいなものも感じたのですが、小説のイメージと音楽・舞台イメージがまったく同じであることに驚愕とともに感激しました。
作曲のデスプラだけでなく、演出のソルレイことドメニク・ルモニエ女史の両者の、川端や日本文化への深い造詣ゆえですね。
怪奇よりは幽玄のイメージ、でも幽霊話では、タクシー運転手に扮する語りのロラン・ストケールの不敵な笑が「羊たちの沈黙」のレクター教授に見えて雰囲気上げました。

現代オペラは音楽と映像と演出のコラボがすばらしいです。




原作  川端康成「無言」
台本、作曲、指揮  アレクサンドル・デスプラ
台本、演出、音楽監督、ビデオ演出  ソルレイ

舞台美術  シャルル・シュマン
舞台美術原案  エリック・ソワイエ
衣装  ピエールパオロ・ピッチョーリ
演奏  アンサンブル・ルシリン

バリトン(三田) ロマン・ボクレー
ソプラノ(富子) ジュディット・ファー
語り  ロラン・ストケール(コメディ・フランセーズ)

2020(令和2)年1月25日  神奈川県立音楽堂