8  結婚への道 その2

「天が地よりも高いように、わたしの道は、あなたがたの道よりも高く、わたしの思いは、あなたがたの思いよりも高い。」
(旧約聖書より)

1990年4月末、GWを利用して、教会の友達T子さんと二人で静岡にある、ある教会へ出かけました。
その教会の牧師先生は全盲、奥様は晴眼者の方ですが、視覚障害者の結婚に重荷を持ち、そのための「結婚の窓口」を開き、年に1度、「結婚の集い」というのを開いておられました。
一君への思いに悩むようになって1年、「それから逃れるため」という考えもあって、T子さんと一緒に旅行を計画しました。
旅行って、計画する時には楽しいけれど、行ってみたら疲れただけだった、ということがあるのではないでしょうか。
これは旅なれないものの考えかもしれませんが、とにかく私は、わくわくしていました。
こちらの教会では春の特別な集会が行われることになっていて、少し悩みましたが、牧師先生に相談したところ、「参加されたらどうですか」と言ってくださり、推して下さいました。
「窓口」に登録するなら、と、あちらから送られてきた資料にも、一緒にわくわくしながら書き込みをしてくださいました。

ところが!出かける三日ほど前になって、私の「わくわく」は打ち砕かれました。
今回の私の旅行を知った一君が、信じられないほど落ち込んだのです。
その時初めて、「まさか」と思いました。
自分の思いにばかり囚われていた!
逃れたい思いから逃れられなくなり、どうしたらいいのだろうかと混乱し、私は一人になるとよく泣いていました。
それでも出かける日はやってきて私たちは出かけたのですが、私の顔を見たT子さんが言いました。
「あまり楽しそうじゃないね」
私はどきりとしながらも、「緊張しているかも」とかなんとかこたえました。

旅行はそれなりに楽しいものでした。
「結婚の集い」も、学びを受ける気持ちで参加しました。
そして旅の間に、もっと自分の気持に正直になろう、神様に委ねて祈っていこう、と決心したのでした。
帰ってから牧師先生に なんて言おうかと思案しましたが、「自分の願っていることとはちょっと違いました。
登録もしませんでした」と報告したのでした。
       続く