瀬尾まいこ「そしてバトンは渡された」を読んだので感想を残します。


↑著作権やらなんやら厳しそうなのでフリー画像でお願いします。本当はもっと素敵な表紙です( ノД`)


    

幼い頃に母親を亡くし、第2の母親に出会い、父親と海外赴任の機会に別れ、第2の父親と出会い…。主人公・優子はこれだけでなく、7回家族の形を変えた。

高校生になった現在は第3の父親と暮らしている。

血の繋がらない親をリレーされながらも、優子は愛情を溢れるくらいもらってきた。

そんな優子が、伴侶を持つ。その人生を描いた物語。


感想

この小説の良かったところ、惹かれたところを3つに分けて書こうと思います。


①掃除機のように読みやすい!!

私はこの小説と同時に夏目漱石の「こころ」も読んでいました。

「こころ」もおもしろいのですが、読書初心者な私には難解な文章で、読み解くのに時間がかかっていました。

そんな中、この小説を読んで、(な、なんだ…この掃除機で大量のゴミを吸った時のような読みやすさは…)と汚い例えを考えてしまいました笑

大量の文字が書き込まれているのに、スっと入ってくるのは、明るい雰囲気の要因も関わってくるのかなぁと思いました。

主人公の優子は、悩みもあったし、本当は傷ついていたんだろうけど、それだけじゃなくて複数の親から深い愛情をもらって、悩んでばかりじゃなくて、明るい人生を歩んでいるなぁという印象を受けました。

そんな優子の明るくて親からの優しい眼差しを受けた人生は、読んでいて気分が明るくなりました。


②優子のまっすぐな生き方

優子は、血の繋がった父親と別れたり、梨花さんに置いていかれたりして、本当は傷ついていたけど、前をまっすぐ見すえていました。

そんな風に優子がなれたのは、優子が関わってきた人たちが愛情を注いでくれたからだと思います。

血が繋がっていないからと親から軽蔑されることなく、溢れるくらいたくさんの愛情を受けた優子。

受けた愛情は、時間がかかることもありましたが、太陽の日光ようにまっすぐに優子に届いていて、素晴らしい親たちだと思いました。

優子は勉強も頑張って、大学にも合格しましたし、友達の家庭を妬んだりせず、まっすぐに育って、結果的に早瀬くんという良い人を見つけました。

優子、おめでとうと、私は最後のページになるにつれて涙が溢れていきました。

ちいかわのように、「わァ…ぁ…」と泣きました笑



③美しすぎて眩しいまである

この小説には食べ物が多く登場します。かつ丼に餃子、シュークリームなど…。

情景描写にも使われてるなと感じました。

食べ物が出てくるからか、この本は色彩豊かです。

きっと、彩ってくれたのは、最後の父親である森宮さんのおかげなんだろうなぁ。

森宮さん、本当に良いキャラしてると思います。

キャラといえば、出てくる人皆、個性的で、愛情の形が違って、とても魅力があります。

梨花さんが本当のお父さんからの手紙を隠していたエピソードは、うるっと来ました。梨花さんも親として、優子に離れてほしくなかったんだなぁ…。


話を戻して、この本は色彩豊かなだけでなく、ピアノの音が穏やかに流れている作品だと思います。

優子のパートナーである早瀬くんが、ピアノが上手で、優子自身も弾くことが多々あり、ピアノもこの本に多く登場します。

なんだか、考えすぎなのかもしれませんが、優子と親たちの関わりって、ピアノの曲みたいだなぁとおもいます。(このことは他のアプリにも書き込みました)

最初は血の繋がった水戸夫婦が主旋律を奏でていたけど、1つ音がなくなって、また梨花さんという新しい音が増えて…。

ここで音楽は転調します。人生が大きく変わる2択を迫られるからです。

優子が選択して、また音が1つ減る。

でも、水戸さんは遠い場所から手紙を書き続けていて、優子の幸せを願っていた。

だから、主旋律は梨花さんでも、副旋律?裏メロ?(音楽に詳しくない笑)は水戸さんが奏でていたんじゃないかな。

最終的に主旋律を奏でるのは森宮さんになったけど、副旋律では水戸さん、梨花さん、泉ヶ原さんがそれぞれの音色で、愛情で、見守っていたと思います。

森宮さんの音も、副旋律の音に負けず、とても温かいものでした。

ラストの結婚式で、親たちが揃うことで曲が改めて1つになり、フィナーレを迎えます!

そして、優子と早瀬くんが、バトンを繋いで新しい音楽を紡いでいくんだなぁと解釈しました。

考えすぎかなぁ笑


まとめ

では最後に、個人的この本のベスト名言を。


「本当に幸せなのは、誰かと共に喜びを紡いでいる時じゃない。自分の知らない大きな未来へとバトンを渡す時だ。」


深いー!深イイネ!!

私にはまだ親という経験がないけど、親になってから読んだらまた感想が違うかも。

瀬尾まいこさんの本、もっと読むぞ!

長文お付き合い下さりありがとうございました!!!

共感などして頂けたら嬉しいです。