四七日目
朝7時頃起床。体温は37.0度と微熱。薬を接種し、うとうとと二度寝をかます。
12時頃ぼちぼち腹が減ってきたので昼飯をとりにいく。地元で有名なスパイシーレストランへ。辛い料理が好きでよく中本とかも食いに行くし家でもデスソースをかけまくる。インドでカレーを何回か食っているが、それも辛いと感じたことはなかった。なめていたわけではないが美味しい辛さだろうと入店前は思っていた。
まず魚のフライを食うのだがあまりうまくない。辛さはぼちぼちで、蒲焼きから甘さを抜いたような味。コクがない。
次にカレーを食うのだが、これがまあ辛い。北極を美味しくいただける程度には辛さへの程よい自信を持っていたのだが一瞬にしてその自信は打ち砕かれた。日本の激辛ラーメンとか激辛カレーとかがなぜうまいのかと言うと多分、出汁とかコクとかがあるからだろう。中本なら味噌のコク。このカレーにはコクがない、あるのは悪意。ひたすら「へっへっへっ辛くしてやりましたぜ」みたいな。味がなく辛いだけ。しかもこれがデフォ。ほんとに地元のやつらはこんなもんを食うのか。具は緑唐辛子とニンニクと鮫の肉×15くらい。鮫の肉はアンモニア臭がするとよく聞くが、そんなことはなくただひたすらに辛い。全部の肉に軟らかい骨があった。これが鮫の軟骨成分か、と通販番組のばばあに感謝しながら鮫を平らげる。一時間かけてなんとか完食。
このひたすら辛さだけを追求するスタイル、何かに似ていると思考を巡らせていると、思い当たる節があった。100辛カレーだ。知る人ぞ知る鬼のように辛くてまずいカレー。早稲田大学近辺のカレー屋で例年ある時期に期間限定で提供されるのだが、あれに味が似ていた。辛さを追求しすぎると辛いを通り越して痛くて苦いのだ。そしてまずい。
口直しのためアイスを購入。

この30ルピーのアイスを買うときに気づいたが、さっきのスパイシー店で端数の10のために100を払ったら、40しか釣りを渡されていなかった。隙を見せたらすぐに猫ババしやがる。毎回確認を怠ってはならない。
どうして夏のアイスとタバコのコンボはこうもうまいのか。海に向かって叫びたい気分だ。発狂しそうになるほどうまい。酒とタバコもうまいがアイスとのコンビには勝てない。なぜなんだろう。
帰ってまた昼寝をかます。体力が確実に落ちている。19時頃、起きるとションベン垂れ流しじじいがカレーをクチャクチャ食っていた。食うのは良いがクチャリングはやめてほしい。小便をするのも良いが部屋で豪快に撒き散らすのはやめてほしい。
現在、南ゴアのマドガオンという場所にいるのだが観光地は皆無だ。自分の予定ではここより北上すること40キロくらいの場所にいる予定だった。そこがヒッピーの聖地と言われ旅行者も多い場所だ。どっこいアグラの詐欺タバコ屋の親父のおかげでこんな辺鄙なところに来てしまった。この南ゴアでは東アジア人はおろか、欧米人すら見かけたことがない。事実、このゲストハウスに五日ほど滞在し、十人ほど人の入れ替わりがあったが全員インド人だ。中流階級のインド人が利用する宿なのだろう。観光地がない分、うろちょろする必要がなかったのでおとなしく引きこもることができたとも言える。それゆえに回復が早まったとも言えなくもない。タバコ屋のじいさんに感謝してみるか。
喉はまだ痛いが35.6度まで熱は引いた。明日の15時半発の夜行バスでムンバイヘ向かう。数日後のフライトでインドを脱出しイスタンブールへ飛ぶ計画だ。一番最初の予定では9月の頭から三週間インドにいるはずだった。しかし、インドに来てからは、1週間~10日で出ように変わり、結果的にその中間くらいでおさまった。いずれにせよ、まあ嫌なことが多かったというか嫌なことしかなかったがそれでも来て良かったとは思う。ガンジス河もタージ・マハルもちょっぴり見られたし、ぼられても今までならしゃあないかとなっていたのが本気で怒ることができたし。二度と来ることはないとは思うが。
四八日目
11時前に身支度を済ませる。チェックアウトが11時だが部屋にスタッフが来るまで粘ってみようと悪い客を演じる。バスまであと四時間半もある。11時を3分経過したところでスタッフは素早く起こしに来た。仕事が早いことで。
ゲストハウスを出て約三キロ離れたバスターミナルへ歩く。10キロのバックパックを背負うがそれ以上の重みは感じない。筋肉痛、関節痛も引いた。今朝の体温は35.8度。残るのは鼻水と喉の痛みと大量のニキビくらいだ。
国道沿いをずんずん進撃。途中、優しそうなインド人ライダーに「後ろ乗ってく?」なんて声をかけられたが、ここで気を許したらダメなんだよ。常に警戒心が大事。丁重にお断りし再び練り歩く。12時前に到着。
あと三時間半どうしたものかと、周辺をうろうろしているとケンタッキーを発見。
タイでマクドナルド食ったときも思ったけど、くそうめぇ。やっぱアメリカ資本って最強。両方日本で滅多に食わんけど、なんでこんなにうまいねん。思わず、USA!USA!と叫びたくなるほどにうまい。そしてペプシ。どんだけ炭酸効いとんねん。有能か。タイのビッグマックセットはタイで一番うまい料理だったけど、やっぱインドでもKFCが一番うまいわ。何の気なしに「シェフを呼んでくれ」のフレーズが口から出てきそうになる。
と、これを書きながらも最低でもあと二時間は定員の目を気にしながらここで時間を潰さねばなりません。
続く


