五六日目
13時頃に昼食をとる。

カッパドキア名物の壺ケバブ。目の前で壺をハンマーで叩き割ってくれる。味はポトフのごとく素朴。黄色の果実は二つともレモンかなと思って手前を食すとやたらめったら甘いので砂糖付けのレモンかと思い、向こう岸のも食ってみるとそっちは梅干し並みに酸っぱい。手前はグレープフルーツ、向こうはレモン。トラップにまんまと引っ掛かる。

イスタンブールよりも観光客が多いのに、ビールは倍ほどの量でややカッパドキアの方が安い。イスタンブールだと300ミリ20TL以上が店のビールの相場だけど、このお店では500ミリ15TL。300円いかないくらい。田舎だから物価が安いんかな。
食後、近くのなんちゃら渓谷へ。
途中、強烈な便意を催し世界遺産カッパドキアで野糞をかますか本気で迷ったが人の目もあり断念。いなかったら、ほんとにしてたかもしれない。暫く歩くと都合の良いところで公衆便所を発見。1TLでお金を受け付けに渡すと、ロックが解除されるハイテクなやつ。そこまでしてお金取らんでも。
15時頃、宿へ戻り19時までお昼寝。バスではほとんど寝られなかったからぐっすり眠れた。お布団最高なんじゃ。

晩飯はなすびに米を詰めこんだ謎の郷土料理。イカ飯で腹を下したことがあり並々ならぬトラウマがあるのだが似たような味がして吐き気を催す。なんとかルービーで流し込み完食。基本的にレストランとか食堂とかではバケット一本分くらいのべらぼうにうまいパンが無料で支給される。東南アジア→ネパール&インドを経て感覚5キロほど減った体重が怒濤の炭水化物のコンボで急速に戻っていくのを身体の内側から感じる。トルコは食料自給率100%越えの農業国家で日本が米を大事にするように麦を大切にする国なんだと、絨毯屋の親父が麦柄のカーペットを得意気に見せびらかしながらほざいていたのを思い出す。
そういえばイスタンブールの旅行代理店で相場よりやや高いくらいの気球ツアーを申し込んだのだが気球会社の名前はおろか集合場所集合時間すらわからない。昨日の夜からメールを4回送るも音沙汰なし。前日の「お前の席ねえから」バスもここで申し込んだのだが些かお粗末すぎやしないか。明日、気球に乗れるか不安だ。とりあえず、他の人が4時過ぎにホステル前でピックアップとか言っているのを盗み聞きしたので4時頃に起きてみよう。
五七日目
12時頃に寝てなんとか朝4時に起きられた。気温5度の中、ひたすらホステルの前でピックアップを待つ。4時半頃に余裕綽々ヤニをかました同じホステルの白人女性がやってきた。4時45分頃にこの女性のお迎えはやって来る。あたしのは..。
気温はまだ上がらず外も暗い。すでに吸い殻は5本くらいになっている。紫煙をくゆらす以外にやることもない。5時前までに7台ほどバンが来るも、どれも違うよう。2つほど声をかけるが「お前じゃねえ」と叱られる。だって会社の名前知らんねんもん..。世知辛い、泣きそう。
6時半までひたすら待機していると

このSIMカードがどういう仕様かは知らないけど、もはやツアー会社にクレーム入れるしか方法はない。英語で話せるかな、というかそもそもあいつら起きてるのか。
電話は案外すぐ繋がった。電話の相手が申し込んだときにいたジャン=レノ激似の一筋縄ではいかない堅物親父だということは声を聞いた瞬間わかった。300TL、約6000円値切るのに二時間は粘った。
「アイアプライドフォーバルーンツアーインユアカンパニー。バットピッキングアップイズノットカミング。」
言えたー!
「マイフレンド。お前、三泊四日泊まる言うてたやん。だから、まだ申し込んでへんねん。大丈夫、大丈夫。明日か明後日には乗れるようにしたるから、今日の午後には連絡するさかい。」
と堅物なのに寝起きの機嫌は悪くない。
じゃなくて申し込んでへんってなんやねん。22日に乗りたいって言ってたのに通じてない?コミュニケーションの重要性をみたび痛感..。気球会社の名前を尋ねると「あー、今日の午後には決めとくわ」とマジで申し込んでいないみたい。適当すぎる..。早起きは三文の徳とは言うけれど、あれは嘘だ。普通に睡眠時間を返してほしい、凍傷寸前ですわ。二時間半も極寒の中ひたすら立ち続けるという図らずも強いられた苦行。耐え抜いたのだから、きっと次は良いことがあるはず。昼間の30度近い気温から嘘のように落ち朝方の摂氏5度という20度越えの寒暖差でまた風邪を引いてしまいそう。現に抑制されていた鼻水が復活している。そもそも明日乗れるってのはほんとなんか?しっかりしてくれジャン=レノ。


どっこい普通こんな朝早くには絶対起きないからおかげで良いものを見られた。なんなんやこれ!ほんま!すごいよトルコ!カッパドキア!乗船後はシャンパンが振る舞われると聞くし高いお金を払うだけの価値はあるのかも。てかそうじゃなきゃ。回し者ではないけどハネムーンでトルコをまわるのは最高だと思う。少なくとも一人で来るとこではない。街とか自然とか見て「すげぇ」となっても誰かと共有できず感動のあとに虚無感が迫ってくる。嫌な国に行くのは一人で良いけど最高の場所には誰かと行きたい。
前日の昼間に昨日セックスしたと思しき日本人アベックを見ていたら悲しくなった。片や一人で西成の親父よろしく昼間っから酒をかますニキビ面の大学生。片や昨晩、いや今朝ハッスルをかました初々しい新婚はん、知らんけど。切ないよ。おっかさん。
朝気づいたがトルコに入ってから昨日までの会計記録を紛失してしまった。旅行のここまでの全期間二ヶ月弱、全てきれいに残していたのに悔しい。二週間ちょいの滞在だが多分ぼられた8万円を越えるようなことはないはず。まだ折り返してすらないのに、マジで旅費足りるかこれ。キャッシングリボ払い地獄だけは避けたいの、少額でもどんどんクレカを切った方が良いかも。
朝飯を食ってから五時間、ボーッと部屋でゴロゴロしていた。今朝のバルーンのショックが大きすぎて..。いかんいかん。せっかくカッパドキアに来たのだから探索しないとと重い身体を起こして外へ出る。向かうは徒歩20分ほどのギョレメ野外博物館。ここはどうやら外せない場所らしい。30TL。

ほんとに感動すると写真撮ってる余裕なんかないと先輩のtkknさんが言っていたが、当にそうでこれ一枚しか撮影していなかった。穴の内部は撮影禁止なのもあるけど。もっと撮った気がするのだけれど。錯覚なのかこれしかフォルダにない。カッパドキアが自然公園であると同時に9世紀にムスリムに迫害されたキリシタンたちが形成した秘密基地っていうのはさっき知ったけど、まあ壮大。穴になってるとこが教会だったり墓地になってたりする。スペインのババアが素人のくせに文化遺産のフレスコ画をへったくそに補修して総スカンを食らってたけど、あれと同じようなフレスコが描かれている。もちろんオリジナルは崩れかかっているけど十分な迫力。それなのにババアフレスコのサブリミナル効果によるものか頭の中をあの下手くそが過ってあまり教会鑑賞に集中することができない。
野外博物館の入り口には銃を装備した屈強なアーミーがスタンバイ。強そうな穴。教会にも見張りみたいなやつがいる。その中でも特に貴重とされる暗闇教会は10TLの課金制だった。まあ次いつ来るかわからへんし入ってみたが驚くほどショボい。旅行をしていて気づいた自分の性格が対象というかポイントを定めるより全体を重視するものだったということだ。だから、一つ一つの展示物とかよりも全体としての風景とかに感動しやすい。大きな気づきだ。
15時半頃お腹いっぱいになり、退散。やはり誰かと来るのがベターだ。一人で「すげぇ」とか言ってても虚しい。
カッパドキアに限らずネパールとかタイでも思ったことだが世界遺産の周りはもちろん中ですらペットボトルを初めとするゴミがゴロゴロ落ちている。地元の奈良を思い出すと鹿の糞はもりもり落ちているが、化学製品とかはあまり落ちていなかったように思う。文化の違いという言葉で済ませたくはないが、まあガバさがグローバルスタンダードで逆に日本の清潔に保つという慣習は稀有で世界に誇れるものなのかもしれない。
音声ガイドはともかくとして外国人向けのガイドって日本の文化遺産の周りにいたか。海外はどこに行けど有人ガイドが群雄割拠している。日本語は少ないけど。大方、英語と中国語はあってフランス語とドイツ語もある。ここでは多分というか十中八九トルコ人ガイドだが母国語以外を話せるのはやっぱ憧れる。それと奈良に生まれたが奈良の歴史をほとんど知らないというのが恥ずかしい。東大寺ですら「794が平安京だから710が奈良時代で8世紀くらいに建立?聖武天皇のときやったかな。多分、天災とかが起こったからそれ鎮めるためにつくったんやった気がする。」と高校時代は日本史を選択していたにもかかわらず曖昧な知識しか持ち合わせていない。世界を見る前に日本の歴史を知れ。という右利きの人からの声が耳に痛い。
カッパドキアは見所がたくさんある。岩の一つ一つがキノコ形だったりラクダ形だったりら地下の隠れ部屋みたいなのがあったり。それが東京が丸丸すっぽりおさまるくらいの土地に点在している。たしか。なので観光客は大抵、効率良くまわれるツアーに申し込む。北部、東部、南部だったかをそれぞれ巡るレッドツアー、グリーンツアー、ブルーツアーがある。多くの人がレッドとグリーンに参加して二泊三日とかで滞在するのだが大体ツアー1つ30ユーロ~とかなので4000円前後はする。朝から夕方まで巡って昼飯もついているのでそんなに高くはないのだが金に余裕がない私のような貧乏人にはやはり高く感じられる。先ほど対象物がどうのこうの~みたいにカッコつけたことを抜かしたけど、やっぱり来たからにはたくさん見ときたい。どうしたものかと思案していたが、わざわざ日本で3000円ほど課金して国際運転免許証を拵えてきたんだった。使う機会はないと重いと踏み旅行保険には入っていないのに心の保険として持ってきていたものだが、こいつでバイクを1000円くらいで借りられれば、一発で元が取れる。天才か俺。明日バイク借りに行こう。

16時頃夕飯にチキンケバブを食らう。飯もややイスタンブールより安い。ゆえに毎日、飲酒で優勝してしまい結果的に会計が高くつく。ビールが安いと飲んでしまう。イスタンブールに帰ったら飲めないもの。
トルコに来てから肌荒れが治まってきた気がする。考えられる要因はいくつかある。
1.「インドを抜け、ストレスが急激に減ったこと」
これが一番でかいと思う。
2.「飯をもりもり食べるようになったこと」
今まで一日一食だったのが最低でも二食くらいは食べるようになった。栄養不足が響いていたのかもしれない。食が増えて減った体重は元に戻りそうだが。
3.「タンパク質の摂取量の増加」
ケバブばっか食っているのでプロテインを補給していることになる。タンパク質が血肉をつくり血流をよくしたのかもしれない。あとインドでは、これも肌のためだが、いっちょまえにベジタリアン料理をぼちぼち食べていた。ビタミンだけでは肌荒れは治らんということかも。
4.「ホットシャワーを浴びられていること」
トルコでは二軒目の宿だが、いずれもバスルームでアチアチのお湯が出てくる。インドとその前のネパール、東南アジアでも半分以上は冷や水を浴びてきた。自分としては冷水でも耐えられるのだが、お肌は耐えられなかったのかもしれない。
5.「ここ最近、毎日バナナをもりもり食っていること」
肌に良いらしい。皮は肌に塗り塗りしている。効果は未知数。
以上の要因により、お肌トラブルは改善されつつある。新鮮な吹き出物は相変わらず毎朝新たに芽を出すのだが、そのペースが落ちているし回復スピードも速い。以前にできたやつも小さくなりつつある。このまま、南米へ行く前のおよそ二週間で完治させたい。おそらく南米に行ったらまた再発すると思うけれど。
17時頃にジャン=レノから連絡を受信。明日の5時15分にピックアップとのこと。にしてもなめている。

何がドントノウイエットやねん。なんで先に時間だけ決まんのりで。意味不明。大人の事情でっか?気球が落っこちなければもうなんでもいいや。「Denizn Travel 」という代理店は地雷。ジャン=レノも地雷。
五八日目
4時45分起床。5時5分から外でスタンバイ。15分にピックアップとのことだが10分遅れで到着。まだ許せる遅刻。「お前はムロタか?」と尋ねられるだけの簡易確認。ガバ過ぎるし会社名も未だにわからない。バンに乗り込むと白人が四人。日本人用のバルーンもあると聞いていたので同胞とわちゃわちゃしたかったというのが本音だが、どうやらお安くはないよう。おそらくツアー会社は一番安い気球会社を探してて宿の立地的に5:15だけは揺るぎないものだったんだろう。翻弄されてる..。
6時前には発着所に到着し、すぐに乗ることができた。
ちょうど一時間に及ぶフライト後にはシャンパンをぶっかけられた。寒いけど気持ち良い!「なんでシャンパンを飲むかわかるか?違う、違う伝統じゃない。This is life.」とかアル中みたいなことをガイドが言ってた気がする。拙いリスニング力だから正しいかは不明だけど。

フライト証明書。これが地味に嬉しい
現在9時半。とても眠い。寝てからバイクでも借りて外に繰り出そう。カッパドキア最高だ。
続く