七七日目


 1時頃に寝て6時頃に目覚め7時頃に二度寝。11時頃に起床。9時間くらい寝たか。13時頃外出。泥のことで頭が一杯。リマではもうやることはない。暇で暇で仕方がない。リマは初日にまわりきった旧市街とそこから八キロ離れた新市街にわかれている。新市街のミラフローレスは青山・原宿的なノリらしい。高級住宅街。そこに日本人実業家天野芳太郎の織物コレクションを展示する博物館があるらしいのでそこに行くことにする。


 50ソルの高額紙幣を二枚しか持っていないので、とりあえずこいつを崩したい。商店とか食堂で出すと嫌な顔をされるかお釣りがない場合が多いのでチェーン店に赴く。


昼飯のハンバーガーショップの謎の定食。上に乗っかってる細長いのは何かの肉の希少部位かと期待したが、そんなはずもなく揚げバナナだった。白米にバナナは合わない。14ソル。8ソルもあればお腹一杯になるので高い。

 八キロの行程をひたすら歩いて15時半頃に天野博物館到着。10ソル程度の入場料を予想していたら30だった。ひえー、高くつく。カード払い。




ハンターハンターの十二支んにこんなやつおったな

 16時半頃にコストコみたいなスーパーがあったので爆買い。水とガムとインカコーラとルービー×2、そして水。合計10ソルもいかなかった気がする。2.25リットルが70円くらい。久しぶりにルービーをかます。ペルーは酒が高いみたいで350ml缶が7ソルくらいする。軽く200円を越える。一番安い334mlのバドワイザーのボトルを3.2ソルで二本購入。国産のやつがなぜか見つからない。歩きながら飲むと楽しい。


 17時半頃に通りかかったレストラン。軒先に2ソルとか3ソルとか書いてある!ここで晩飯をかまそうと思い入ったのが終わりの始まり。座ってメニュー表を眺めていたら最低38ソルからとかだった。こういう国では店の看板とメニューの値段が違うことがままある。カードも使えるって書いてるし食うたるわ。ペルーに魔法の泥があるなら俺は魔法のカードを持っている。現金がなくても飯が食えるんだ。ビックリしたかペルー人。なんてことは言えるはずもなく、むしろどこでもクレカ切れるペルーにこっちが驚いている(リマ市内だけだと思うけど)。世はもはやカード社会。カードなしには海外へ行けない。


 メニューは何が書いてるかわけわからん。とりあえず一番安いセビーチェと何かのセット、38ソル。セビーチェはペルー伝統のマリネでもう一つは魚のフライだった。


味はあり得ないほどうまい。海に近いから新鮮な魚が入ってくるんだろう。マリネも生魚だから日本の寿司が恋しくなる。それにパクチーが余計なことをしてくれる。東南アジアで隆盛を極めネパールとインドあたりから徐々に落ち着きヨーロッパで完全に死滅するパクチーは南米で再び復活するみたいだ。このフィッシュ定食、一人で食いきれるはずがないので飛行機でパクったゲロ袋に魚のフライを半分くらいつめた。残すともったいないから。卑しい日本人でごめんなさい。

 もちろんカードを切りたいのだが機械の調子が悪いみたいだ。

 「カード使えねえなぁ。理由ははわからんけど、たまにあるんだよ」とニチャュアニチャュアしながら言われる。おいおい、現金ほとんどないのに😭キャッシュで38ソルは痛すぎる。残りの手持ち30ほど。



七八日目


 7時頃起床。睡眠は約七時間。10時過ぎにチェックアウト。朝飯に昨日の魚のフライをかます。今日はチルカに謎の泥をゲットしにいく日だ。


 作戦はリマ市内のメトロを使い南部まで脱出。南部から幹線道路を走るバスを捕まえてそのままチルカ。失敗したらそこから60キロ歩く。


 11時前にメトロポリターノセントラル駅に到着。面白いのがメトロのくせに地下鉄でもなんでもなくただの路線バスなのだ。2010年代には完成予定だった地下鉄が全く完成せず結局リマ市内を走るバス専用レーンになったとのこと。これからメトロになるかも不明。ここから終点のマテリーニまでおよそ20キロのショートカットができる。朝にチルカまでの距離を調べたら10キロ増えて約80キロになっていた。不思議の国ペルー。残りは60キロ。車内はおしくらまんじゅうだがスリの危険とかは感じない。リマの中心部は案外、治安が良い。夜は少し怖いけど。昨日の夜とか外で瓶の割れる音を何度聞いたことだろう。サッカーのチリvsペルー戦があったらしいが、こっちでいう日韓戦みたいなもんなんだろう。19世紀に戦争してるって昨日ウィキペディアで見た。


 12時前に終点のマテリーニに到着。ここから幹線道路のパメリカーナ=スールへ行きビュンビュン車が行き交う高速道路上でバスを拾わなければならない。パメリカーナまでは6キロほど。当然ここは歩き。


このレッドアイズ犬に吠えられたり他のレッドアイズ犬×2に追い回されたり、坂道を何個か登ったりしながら5キロを歩ききった。

 13時過ぎにパメリカーナ=スール着弾。ここを走るバスに手を挙げアピールして停めたらチルカまで行ける..らしい。近くのおっさんに聞いたら「手を挙げたら停まってくれるぜ、多分!」みたいな感じ。


この高速道路の脇に立つ。


 待ち始めてすぐチルカのすぐ北のプクサナ行のバスが来た。バスに乗ってチルカ!って言ったら乗せてくれた!80キロ余裕でショートカットできるやんけ。5ソル、約180円。


 うつらうつらしながら14時半頃にプクサナに到着した。運ちゃんが「ここにチルカ行きが来るから待っときな」と。チルカまでは6キロくらい。すぐにチルカ行きが来て秒で着いた。3ソル。80キロ離れた場所に行くのに5ソルで、6キロ離れた場所に行くのが3ソルなのはなんとも解せないが。


 14時45分頃にチルカ到着。ここでまずは泥の場所を聞かないと。とりあえず飯屋に入って情報収集。


15時頃昼飯のアエロプエトロ。メニュー表で一番安い10ソルだった。米二号分くらいの量で翌日の朝まで腹は減らなかった。味はべらぼうにうまい。中華風なのかペルー風なのかわからんがチャーハンに似て非なるもの。でかい鶏肉がゴロゴロ入っている。上のネギとの相性もよくピラフと炒飯の中間くらい。赤いスパイスをかけると中本みたいな味になった。うめぇ。

会計のとき、店の看板娘とGoogle翻訳を使って会話。「泥?なんじゃそりゃ。知らないね」と言われてしまい参っていたら奥の方にいるお母さんに聞きに行って笑いながら出てきた。「ラグーナのことね。泥って言ってもわからないじゃない!」というほっこりするやり取り。どうやら地元の人は泥のありかを「ラグーナ」と呼んでいるようだ。

わけわからんけど、まっすぐ行って左らしい。

ひたすら一時間くらい歩いて着いたのが
ただの砂浜。ここで砂遊びしてた家族に聞いてみたら、ここから歩いて20分くらい。やっぱり海岸線をまっすぐ行って左らしい。


その後も
ここまっすぐ行って左

ここまっすぐ行って左
ここまっすぐ行って左
ここまっすぐ
ここまっすぐ行って左

と言うのを何回も聞いてようやく17時頃にラグーナに着いた。



この池から拾った汚い泥を顔面に塗りたくる。肌荒れが治ると信じて。今のところ効果は見えていない。宇宙人の泥らしいが宇宙人というのも気まぐれみたいだ。何はともあれチルカに来られた。肌が荒れていなければこんな意味不明なところには冒険がてらくることはなかったろう。肌荒れに感謝だ。


 18時頃に本日の宿を探し始める。自分が目星をつけていたところは存在しなかった。ホテルはなく野犬がたむろう危険な場所。地図上はたくさん宿があるのだがオフシーズンだからか一軒も灯りがついていない。諦めて灯りのついている民家に「床で寝るだけだから泊めてくれませんか?」というも当たり前のごとく答えはノー。「ここをまっすぐ行ったら宿があるよ」とお決まりのまっすぐだ。一縷の望みにたくしてまっすぐいくが、そこにはマッドドッグしかいない。走って逃げると追いかけ回されるらしいので後ろ向きで歩く。「あっ、UFO」って言って指を指す古典的な手法を使ってなんとか事なきを得た。ほんとに、この辺の犬は怖い。


 19時頃諦めて野宿でもしようかと思ったが最後の最後の希望。パメリカーナスールへ。高速道路で手を挙げてバスに乗ってきたのだから、うまく行けばこの先にも行けるだろう。目的地は決めていないが、とりあえず南で。


 20時前にパメリカーナに到着。5台ほど逃したが、六台目でイカという250キロほど離れた場所へ行くバスを発見。こいつに乗る。15ソル。


 イカには23時前に着いた。目的の宿は1.4キロ先。近いね。宿に着くとおばちゃんがお出迎え。「あたしはスペイン語だけしか話せないから娘を呼ぶわね。」と奥から娘を引っ張ってくる。見た目高校生くらい。余裕で自分より流暢な英語。「あなたスペイン語話せないなら、英語は?ちょっとだけしか話せないの?それは..とても大変な旅行ね」と同情された。自分より若い人に哀れみの目で見られるのがこれほど辛いとは..。


 ペルー人は信号が赤でもガンガン渡るし、逆に青でも渡れないこともある。おもしろい。久しぶりに道路をダッシュで渡っている。


 ペルーだけなのか南米全体なのか米食文化は非常に盛ん。ねちねちではなくパサパサだが。純粋な白米はなく大抵塩味でガーリックの香りがする。うまい。店に入っても衛生的にどうなんと思ったことは一度もない。かなりきれい。あと飯のことでいうとフライドポテトは大分重宝されている。付け合わせにもメインの肉と一緒に炒めていることも。スプーンが滅多に出てこないのはおどろき。代わりにナイフとフォークが出てくるのだがナイフどこで使うねんっていうときも絶対に出てくる、謎。


 リマ市内でも英語はダメでスペイン語しか使えないことが多い。行きたい場所も地名を言えばいいし、どんな飯が出てくるのかわからないワクワク感があるだけでそれほど困ることはない。言葉って以外と必要ないのかも。


今までずっと次の目的地を前日に決めて宿も予約してきた。今日は違う。行き当たりばったりで犬に噛まれる恐怖とか野宿でヤンキーに襲われる恐怖とかもあったけど予定不調和がこんなに楽しいなんて。ようやく旅の楽しみ方がわかってきた。次回はイカの砂漠のオアシスの話。


続く