一二七日目

 激動の一日と言うほど激動でないが、昨日はどっぷり疲れた。サンティアゴ磔の刑に処されることがほぼ確定となったからだ。というのも今日の昼間にスーパーに行ったのだが、案の定予備のクレカは使用できなかったので。残り250ドルほどで10日間をこのサンティアゴで過ごす外ないのである。

 あと、ショックだったのはアタカマからサンティアゴまでのバス代の勘違い。59ドルと思っていたが、59,000ペソで約9000円だったのだ。ペソの表記はドルと見間違えてしまうよ。,が入ってても慣れない。

 見たこともない太いうんこが便所に詰まっていて、朝から気分は最悪だ。まるで象のそれ。自分もその上から用を足すしかなかったのだが、やはり流れてくれない。次に入る人はこのエレファントうんち事件の犯人を自分だと思うに違いない。ついていないときはとことんついてない。

 昨日から明日はカルボナーラをつくろうと心に固く誓っていた。なので、材料の調達のため外に出る。13時半頃のことである。

 宿から一番近いスーパーに行くが、卵と牛乳が売っていない。スーパーと呼べるのか謎な品揃え。チーズは売っているけど、チリの乳製品ってこんなに高いの?って感じの値段。いや、全体的に全部高いけれど。あとニンニクが3つセットでしか売ってないのも残念なところ。

 牛乳と卵はカルボにマストなので、二軒目を探す。アプリでAssiって名前のスーパーを発見したので行ってみるが、店の前にはドでかいハングル語の表記。韓国料理の素材を売っている店だった。近くにはチャイナマートとロッテマートという店もあるが、出オチ感が半端ない。この辺はアジア人街か?東洋系の顔は見かけないけど。スルーして二キロ離れた別の店へ。今日は行動範囲一キロくらいで済ませたかったのに、結局一万歩以上歩いた。

 普通のスーパーに到着。ここでも卵と牛乳が見つからん。前者は30分くらい探し回ってパンコーナーの脇で発見。6個入りが150円とか、たっかい。牛乳は自力で発見不可能と判断し、店員に聞いてみると常温コーナーで洗剤とかと同じノリで陳列されている。こいつぁ、見つからん。あとビール(150円くらいか)、パスタ、クリームチーズ、牛乳、にんにく×3、パスタソース、水1.5リットル、スパイス×2、マーガリンで1200円ほど。やっぱり高いね。マーガリンは初めて買った。母親が自然派の人間で「マーガリンのトランス脂肪酸はあかんのや」と口酸っぱく言われてきたから。どっこい、バターは高くて買われへんのや。堪忍してくれ。ここでカードを試したけれど、使用不可。あきまへんわ。

たっかーい。

 宿に戻れたのは15時頃。この時間ならキッチンも空いとるやろうと思ったのだが、白人どもが占領してやがる。何が腹が立つかって、明らかに料理を作り終えてるやつも居座ってたり、何もしてないくせにドーンとふんぞり帰ってるやつがいたりで、早よのけやと。そいつらが出ていくまで待ち、やっとクッキングができると思ったらニューカマーのお出まし。背後からのプレッシャーがすごい。通常の外国人は自分で使った皿はまず洗わんから、調理器具なんて汚れっぱなし。圧に負けていつ使ったんかわからん黒焦げのフライパンを使って調理。とっとと食いたし多少汚くても良いよ。結局飯食ったのは16時前。

見た目は汚いが、味はそれなりにカルボナーラだった。だけどなんか足りない。普通にまずい。

 部屋に戻ってシコって寝たろかと思っていたところ、ポッケからロッカーの南京錠のキーが消えているんですわ。めちゃくちゃ焦りましたわね。昨日の今日で鍵なくすって、お前はどうかしてるんか。ロッカーの中には残りの全財産とパスポートやらが入ってる。持参の南京錠なので、宿の人が開けられるはずもない。国内なら業者呼んで解錠とかもできるけど、海外でそんなんできるんか。そもそも、それってロッカーぶち壊すとかそういうノリ?だとしたらそれもまたお金かかるやん。

途 方に暮れ牛乳700mlほどをイッキしているところ、隣のベッドの姉ちゃんが呑気に話しかけてくる。なんだこいつ。他愛もない雑談をしたのちにダメ元で「鍵なくしたんだよね」って言ってみると、「鍵なら向こうのテーブルで見たわよ」って。姉ちゃん、最高か。それに違いないよ!すぐに確かめに行くとやはり自分のだった。あー、ありがとう。捨てる神あればなんとやらというやつ、姉ちゃんには一生ついていくよ。

 「ところであんた、ピンポン好き?一緒にやらない」って破廉恥なお誘いまで。しますします、させていただきます。このブラジル人の姉ちゃんは日系じゃないけど、仏教徒で日本に興味がある様子だった。カタコトの日本語もしゃべれる。それでもこんな薄汚い日本人と卓球したいかね。

 階下にある卓球上で早速プレイ。容赦ないスマッシュ、キレキレのサーブ、なんか回転する変則ボール。素人相手にかますラインナップちゃうやろ、という見事なラケット捌きを披露される。「昨日は中国人とやったけど、卓球大国なんて言う割に大したことなかったわ」と。あーたが強すぎるのよ。さっき牛乳飲んだのもあるけど、ゲボ吐きそう。突然のピンポンイベントは30分ほどで終了。このあと仕事があるらしい。

 ホステルに泊まってるのに仕事って何やろうと思ったけど、深掘りせずにいた。彼女は先に部屋に戻り、俺はヤニをかます。数分遅れて部屋に戻ると風呂から上がって、えもいわれぬ芳しい匂いを放つ彼女がいた。「明朝6時に帰ってくる。あんたの寝顔が見られるわね」と、誇張なしでこれくらいのことを言っていた。言ってなかったとしたら、自分がとんだ勘違い野郎ということだ。いやでもなんじゃこいつ、ヤバすぎるやろ。因みにイッキした牛乳で今日も腹はぶっ壊れた。



一二八日目

 目が覚めたのは6時半頃。M1の決勝に合わせたわけじゃないけどなんか起きられた。

 それ観てダラダラ過ごしていた。一昨日、宿に到着してから十時間以上はパワプロをやり続けている。イベントもあったから仕方ないが、なんという生産性のない日々。否、そもそ旅行自体が生産性なんて皆無。だけど嫌いになるぜ、自分を。

 ヤニがなくなったので、買いに行く。カルボナーラに入れるベーコンを買うくらいなら、俺はタバコを買う。一回洗濯するくらいなら一箱タバコを買う。宿からほど近い商店を二軒ほど回るが両方取り扱ってない。何のための個人商店やねん。タバコのない個人商店の存在意義を教えてくれ、バカタレ。アプリを使わずフラフラしていたが、中々発見できず結局購入に至ったのは二キロくらい離れたところ。

お前マジか。3600ペソって、日本より高いぞ。ラッキーストライクが600円ほど。お、下に1500のポールモールあるやんけ。ほっそいやつかな?まぁ、それでもええわと思ったら

これですわ。ハナっからスカスカで誰か吸ったんちゃうかというレベル。20本じゃなくて10本で1500やったら250円ちょいやから日本と同じやないかい。ぬか喜びさせやがって、アホンダラ。マルボロで比較すると日本よりもチリの方が高いみたいで。どおりでヤニカスをそんなに街で見かけないわけですわ。おタバコを控えないと、ほんとに空港泊覚悟しなきゃいかんですわね。バルパライソへ行くのも残金では厳しそう。


気づいたらアルマス広場におるんですわ、南米あるある。ここのはWi-Fi飛んでるから有能ですわ。ESTA早よ申請しないと。めんどくさい。宿への帰路でまだ吸えそうなシケモクをゲットしてキャッキャキャッキャ言うとりましたわ。

 アルマス広場付近の歓楽街を歩いていると警察に声かけられんのや、これが。どっから来たんや?って聞かれてパスポート見るだけ。しかも二人とかで対応される、終始ニチャニチャ。すられた日も声かけられたけど、何の意味があんねん。盗人を捕まえんかい、仕事せんかい。感じ悪いわほんま。

一昨日、財布盗られたあとに飲んだ謎のジュース。普通にまずいけど、街の中心地にはこれを売る屋台がたくさんある。缶詰めの桃を歯が溶けそうになるくらいのシロップに漬け込んで、シロップごとコップへぼちゃ。コップのそこには謎の穀物、玄米もどきが大量に入ってる。1000ペソ。

街で撮った写真は、アルマス除いてまだこれだけですね。まだまだ時間はありますので。

宿に帰ってペペロンチーノをつくった。
昨日のカルボナーラよりうまかった。塩とニンニクだけでこんなにうまくなるんやな。あと野菜を三日ほど食ってないが、肌に変化はそれほどない。いつも通りニキビちゃんは一つ治ると「おっ、ここあいとるやんけ。ちょっと失礼しますわ」という感じでまた一つ出現してくる。死んでくれ。

 死んでくれと言えば冷蔵庫に卵を4つ入れていたのだが、2つもパクられていた。バレへんと思ったか。一個25円やぞ、金パクんのと同じやぞ。恥を知れ。正直、財布パクられたときよりよっぽどムカついた。あのときはムカつくというより落胆の方が大きかったし、そういう人は生活に困ってるんかなという同情が多少ある。どっこい卵泥棒は自分同様ただの旅行者に過ぎないし安宿とはいえ生活困窮者ではないやろ、マジで腹立つわ。死んでくれ。大学の寮に二年ほど住んでいたとき頻繁に盗難被害に遭遇したが、あの頃を思い出す。

アルゼンチン総括
物価が高い中、頑張ったと思う。酒とたばこが安いのはほんとに助かる。痛みに耐えて~じゃないけど、小泉純一郎の声も聞こえてきそう。

治安★×3.5(ブエノスとコルドバは都会なので、夜は歩きたくない。田舎はやっぱり観光地なのでいつでも歩けそう。)
飯のうまさ★×3.3(アルゼンチンで外食した記憶がほぼない。マテ茶の卵焼きとラマはうまかったな。多分外で食うてもうまいんやと思いますわ。)
雰囲気★×3.8(ウマウアカはぶっちゃけ良すぎた。イグアスよりも断然好き。あれだけで、アルゼンチン来て良かったと思えるレベル。)
物価★×3.3(直前にいたウルグアイより全然マシだし、タバコとお酒が安いから居座りやすい。宿泊となるとやっぱり南米はペルーとボリビア以外は高いのかな。)
清潔度★×3.3(割ときれいでおまんがな。)
Wi-Fi★×3.3(ぼちぼち飛んでた気がします。二週間ほどいてSIMカードの必要性をほぼほぼ感じなかった。バスは飛んでいない。ターミナルは飛んでるとこ飛んでないとこあるけど、おもろいのが都会で飛んでないのに田舎で飛んでるとかままあること。)
総合おすすめ度★3.4
※全て独断と偏見です。

続く