2日目


 昼過ぎに家を出る。ツレのバカ林は「アムステルダムをもう知り尽くした」と傲慢にも豪語している。電車の乗り方もマスターしたと言うからじゃあ乗り換えも任せる、としてみたら訳のわからない駅についた。アムステルダムセントラルに行きたかったのにアムステルダムツェッペリンに到着した。レッド・ツェッペリンみたい。


 セントラル駅まで6キロ程度の道をひたすら歩く歩く歩く。前日は16キロ歩いたが、結局この日は25キロも歩いた、翌日も15キロ歩いた。ベアトリクス女王公園なる新宿御苑的な仰々しい名称の施設を通過しインスタにでもあげようと思ったが、名前以外は何の凄みもないショボい公園だった。


 オランダ料理に舌鼓。ニシンの塩漬けハーリング。生臭さが堪らなくうまい、クセになる、だけど多分新鮮じゃない。だけどうまい。ビールとあわせて5ユーロ(約600円)という、この辺ではスーパー玉出よろしく利益度外視の値段設定。マスターの軽口も心地良い。7ドルはくだらないと思っていたから10ユーロスタンバイしていると、「チップ含めてそれでも良いよ」と。かわいいおっさん。翌日もここで昼食をとることに決めた。


 そのあとのことはあまり覚えていない。原因不明?の記憶喪失に起因する。何しろ三日前のことだ。夜にツレのピラフが来てブルーワーカーの愚痴を何やかんやと聞かされた気がする。




3日目


朝に3番目のツレが到着。ピラフだ。ようやくパーティーが完成。昼に昨日のせんべろ酒場で祝杯。食後に皆で王立博物館へ赴く。

ピロートーク/レンブラント(多分)

牛乳を注ぎました

夜警は常に分析するおっさんとお姉ちゃんが、絵画の邪魔をしていた

シルバニアファミリー

永遠に晒される女/レンブラント(多分)

森永の天使/フェノロサ(多分)

 家に帰るとブルーワーカーピラフは原因不明?の疲労でダウンした。晩飯も食わずに大イビキをかきながら就寝。家主に挨拶もせずベッドを我が物顔で占領するピラフには同じ日本人として辟易した。軽蔑の眼差しをピラフに向けた自分ではあったが、ウオトカの飲み過ぎで何時に目を閉じたかもわからずいつの間にかソファで泥のように眠っていた。



4日目

 オランダは性にオープンな国だ。アムステルダムを歩けば「Sex Shop」の文字を幾度となく見かける。日本のアダルトショップのようないやらしさはなくかなりスタイリッシュで洗練されている。女性や子どもが往来する通りでも堂々と軒を連ねている。

 「飾り窓」も有名だ。セントラル駅から徒歩数分に位置する風俗及び風俗ストリートの総称である。嬢はテナントとして貸し出されるショーケース型のワンルームに時間単位で住み込み客を誘惑する。客は赤いライトで淫靡に照らされたセクシーなナオンとの直接交渉を通じ中で性交渉をする。日本の風俗のように元締めの黒服やババアはいないので、自分のネゴシエーション能力が鍵となる。「この旅のメインディッシュは飾り窓だ」とピラフに言わしめるほど魅惑の風俗。貴重な有給休暇を使い、たった三日のオランダ旅に繰り出すスケベなピラフに尊さすら感じる。いや普通にキモい。

 「スリルが足りねぇ」
ツレのバカ林が14時過ぎに遅めの朝飯オムレツを食いながらそんなことをほざいていた。初海外に最初は一抹の不安もあったようだが、四日目にもなると慣れてきたようだ。

 スリルを味わうためそして各々の性欲を満たすため藤岡弘、探検隊よろしく我々一向も飾り窓に行くことにした。18時前に教会前再集合として、16時過ぎに一旦解散。それぞれが、己の息子を癒すべく旅に出た。

 結論から言うと僕はやらなかった。どうせやるなら白人パツキン爆乳童顔美女とファイトしたい、ファックしたい。ハードルを自分の中で上げすぎて自分好みの娘を見つけることができなかった。お待たせしましたお待たせしすぎたかもしれません、村西とおるよろしくまたの機会にメインディッシュは取っておくことにした。

 17時半頃に教会前のベンチに戻ると、先にツレ二人が戻っていた。すごくニチャニチャしているので性行に成功したのかと思ったが逆だった。一人はプレイ後に100ユーロほどくすねられてしまい、一人は有り金を全部没収されるというまあ悲惨な結果に終わったという。五分ほど待っているとピラフが帰還。満面の笑みを浮かべ。手コキ50ユーロ、5分でいっちまったらしい。

 それぞれが良い思い出悪い思い出を胸に帰路に。電車の中で反省会がてら今日の出来事を思い返す。ひょんなことからパスポートのことに話題が及ぶと、バカ林の顔面が蒼白と化す。

 「飾り窓にパスポート忘れた..」
鍵をなくした小学生のごときオーラを身に纏いながら、出発2分前の電車から飛び降り急ぎ足で風俗街へと引き返す。とてもダサかったです。風俗通りを行ったり来たりする東洋人は西洋人の目に奇怪に映ったことだろう。同じような街並み、同じような区画、同じようなショーケースにバカ林はどの店で自分が抜いたかわからなくなっている。「多分ここか?いやこっちか?いやあそこだ!いや違う..」と自問自答しながらショーケースを覗き見しまくる。周囲の奇異の目が僕の胸にも刺さる。別のツレ二人は離れて飾り窓を楽しんでる、いーなー。バカ林はやっとこさ目ぼしい飾り窓を見つけたようだが、カーテンが降りている。プレイ中ということだ。店の目の前で扉が開くのを待つ、白人の好奇の目が僕の身に染みる。相変わらず他の二人は飾り窓の雰囲気を濃厚に楽しんでる、いーなー。

 30分ほど経過して、嬢が出てきた。嬢はバカ林の顔を見るや否や「オーケー」とだけ発して何か察した。ただし「そこの友人も中に入りな!」と自分まで道連れにし。靴箱の中にある忘れ物ボックスからパスポートを取り出してバカ林に手渡す。「サンキューサンキュー」しか言えないオタクフェイスのバカ林には同じ日本人として辟易した。金でも要求されるのかと思って部屋に入ったが、結局何をされるでもなく一分ほどで解放された。何のために俺は入れられたのだろう。

 二人同時に店から出てきたのを見て、白人どもに大笑いされた。チビの東洋人が3Pしてやがらぁ!そういう嫌な笑い方をしていた。とりあえずバカ林の肩をぶん殴ったが、彼は安心が勝って不感症になっていた。

 プレイ直後は有り金全部を持って行かれ嬢の文句をブーブー言っていたバカ林だが、パスポートをスッと返却してくれたことによって「ほんとに良いお姉ちゃんだった。今度は本指名する」と舌が何枚も増えたかのような言い草を吐いていた。気持ち悪かったです。何はともあれ、ご所望通り「スリル」を味わえて良かったね。

 自分は飾り窓でプレイしなかったが、リビングのソファで寝ているピラフを横目に久方ぶりに息子とたっぷり遊んで最高の眠りに就いた。

夜のセントラル。帰りに四人でここを背景に写真でも撮ろうとなって、ピラフが行き交う姉ちゃんに撮影を頼んだらどう見ても急いでいないのに「ノー」と断られていた。ピラフはそれ以来声を失った..。チャンチャン。

続く