エドワード・サイードとの会話 | 原純一の海外に業務展開したい経営者のためのビジネス英語力養成講座

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エドワード・サイードが分析哲学の石黒ひで先生の招待により、慶應義塾大学三田校舎で、”The clash of definitions”(定義の衝突)という講演をした時、私の1つ前の席に座っていたのがバレンボイムでした。たぶん1995年頃。

 

サイードの講演はもちろん、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』(The clash of civilizations)に対する批判的言及でした。

 

ついでなので、あの時、サインを書いてもらいながらサイードとした会話を書いておきます。

(言うまでもなく会話は英語でしました。東京SIM外語研究所の教材と伊藤和夫『英文解釈教室』、森田勝之『タイムボキャブラリー』part1〜3などで勉強していた私は大学に入る前にTOEICは730あり、そこそこ会話もできました。)

 

『オリエンタリズム』という、

 

「近代西洋文学(近代西洋の価値観)は、「東洋」に対して、「西洋」から見たら劣った未開の、でも下手に文明化されていない分美しい「東洋」という前提でその(想像的な)差異を搾取して書かれている!(要は、西洋は東洋を対等に見ていない、見下してみている)」

 

ということを明らかにして、西洋側の認識に修正をせまるような本を書いたサイードに向かって、

 

私「ベルトルッチの『リトルブッダ』(音楽は坂本龍一)を観ましたか?」

サイード「観てない」

私「残念です。『リトルブッダ』は映像監督のヴィットーリオ・ストラーロとともに意図的に「オリエンタリズム」の姿勢で美しいブッダの歴史絵巻の映像を撮った映画だと思ったから。そしてそれが意図的、わざとであることを示す、弁解するように、ベルトルッチは『リトルブッダ』の主人公の名前をジェシー・コンラッドにしているのです(サイードの『オリエンタリズム』の中で、「オリエンタリズム」そのもののような小説として取り上げられるのは、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』だから)。」と言うと、

 

サイード「それだから私は観てないんだ(笑)」

 

みたいな、立ち話にしては面白い会話をあの時、今は亡きサイードとしたのでした。

 

(ちなみに『闇の奥』は、フランシス・フォード・コッポラ(と同じく映像監督ヴィットーリオ・ストラーロ)の映画『地獄の黙示録』の翻案元)

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また、このヴィデオでバレンボイムが語っている後期ヴェートーベンのスタイルは、エドワード・サイードや大江健三郎が往復書簡やそれぞれの著作で言及していた内容と通底していますね。

 

https://youtu.be/bCwthMqPGYo

 

 

 

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