「テープ起こしって、とにかく聞こえることを打てばいいんでしょ?」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

この問いの答えは、「激しく間違っている」です。


在宅でのテープ起こしの仕事を始めて数年、こういうことをよく聞かれますが、決してそうではありません。

仕事の種類や顧客の要望にもよりますけれども、いろいろ考えながら日本語を記述しなければいけません。


全ての案件に共通するわけではありませんが、代表的な例を挙げますと、


(1)ケバ取り

 意味のない言葉は取り除いて、理解しやすい文章にします。

 <発言例>「それはですね、あのー、よくあることですが、まあ間違いですよ。」

    ⇒<記載例>「それはよくあることですが、間違いですよ。」


(2)文語にする

 しゃべり言葉(口語)は書き言葉(文語)にします。

 <発言例>「締め切りっていうのがあったけども、破っちゃった。顧客が怒ってる」

    ⇒<記載例>「締め切りというのがあったけれども、破ってしまった。顧客が怒っている」


(3)事実と異なるところは直す(あるいは間違いがわかるように下線を引いたりする)

 <発言例>「平成26年の学校教育法の改正により、教育委員会制度改革が行われた。」

    ⇒<記載例>「平成26年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、教育委員会制度改革が行われた。」


(4)くどい言い回しは整理する

 <発言例>「私たちの目的としては、経費節減ということを目的としている。」

    ⇒<記載例>「私たちは、経費節減ということを目的としている。」


(5)漢字のや仮名の超厳密な表記ルールがある

 <記載例>「困っているということを言いたい」

    ※「困っていると言うことを言いたい」でも、「困っているということをいいたい」でもない


 <記載例>「そのことの見きわめは極めて難しい」

    ※「そのことの見極めは極めて難しい」でも、「そのことの見きわめはきわめて難しい」でもない


このほかにも山ほどルールがある上に顧客によってルールが異なることもあり、簡単なようで意外と頭を使い時間もかかる仕事なのです。