引っ越しのため4:30起床

梱包が中途半端でやけのやんぱちで

段ボールに放り込んだ

 

マメに掃除をしてくれた母

いつもコロコロを持って

落ちた髪の毛を搦めとるような人

 

こんな母と暮らしていても

日々のホコリは積もっていて小汚い

 

搬送が終わった後、

あちこちが汚れているのが気になった母は、

雑巾片手に曲がった腰をさらに曲げ動き回る

 

案の定、くたばってしまった母

40過ぎの私でもくたばる寸前である

 

 

こんな命がけの引っ越しだから

記念として眠い目を擦りながら

書いてみた

 

今日は何もなくなった家を出るとき

各部屋に感謝を伝えた

近所の神社で手も合わせた

 

私はこの家で母を看取り

夫婦でバリアフリーの快適な老後を想定していた

 

新築マンションの入居当初は

この家に毎日感謝を伝えていた

独り言のように

・・・

月日が流れ、

感謝の気持ちは忘れ、

家と仕事の往復で毎日が過ぎ去った

 

家は疲れた体を寝かせるところだけになった

 

転居を決めた時、

マンションを手放すことをすんなりとはできなかった

 

ただ寝るだけの家のくせして、

手放さないとならなくなると、

このマンションのメリットしか見えなくなり

これらを奪われる気がした

 

先日は職場とのお別れ会

そしてマイホームとのお別れ会

次はマイカーとのお別れ会

 

ここまで大きなものを手放すと

実に身軽に感じるはずだが

体の疲れのせいでまだまだ身が重い

 

今はビジネスホテルに母と泊っている

母は「これが人生で最後の引っ越しかな?」

「また引っ越すときが来たら

お母さんは死んだ振りするぞっ。何もしねーぞっ」

言っている

 

それぐらい過酷だったのだ

 

最後の引っ越しはあの世への引っ越しですよ

言いかけてやめておいた(笑)

 

母は小さな赤いラジオを聴きながら

眠りについたようだ

 

新天地では

まずは母を休ませてやりたい

私も少しだけ、ぼけーっとしたい

猫たちを撫で撫でしながら

・・・