どんなときに

心地よさを感じるか

 

仕事から帰ってきて

すぐに

きつい下着を放り投げ

よれた部屋着に着替え

 

お団子にした

髪の毛を解き

櫛を入れ

頭皮に空気が入り

その後

また無造作にまとめる

 

あ~解放された

という感じで

心地よい

 

髪の毛に櫛を入れるとき

ある患者さんを思い出す

 

サラサラのロングヘアで

仕事中は1つに結んでいた彼女

 

あるとき

髪が結えなくなった

手が持ち上がらない

変な痛みと動きの悪さ

 

CT

頸椎転移

 

その後

早急に

頸椎の放射線照射

 

私の髪の毛は多くてくせ毛

梅雨時期は

まとまりの悪さ

この上ない

 

チリチリ・クネクネして

ため息交じりで

髪を梳かしていると

彼女がひょっこり

やってくる

 

髪の毛を結んで梳いて

この動き

 

この動きが

できなくなったときに

めんどくさくて

雑にしていた髪の手入れが

またしたいと

思うのだろうな

 

何気ない日常の動き

 

その一つ一つが

いずれ衰えていくのであれば

今やれている普通の動きが

なんとも

愛おしく感じる

 

私の腰が曲がったとき

日々衰える体を

どう見るのだろうか

 

突然

身体機能が奪われたら?

 

今日、髪の毛決まらなくて

気分が乗らな~い

 

心の中でよく呟いたフレーズ

 

我がことながら

馬鹿馬鹿しい

 

まとめ髪を梳くには

ゴムに手が届き

指でゴムを捉え

引っ張って解き

櫛を掴み

手を持ち上げ

上から下へ

ほどよい圧でおろして梳かす

 

精密な動き

これができる喜び

 

私はこの喜びを知っているもんねぇ

優越感に浸り

ほくそ笑みながら

櫛を通してみては

いかがでしょうか

 

気持ち悪い人に写ります

本人は幸せです