「2週間も入院してたの?」
退院の日、最後の診察をしながら、いいました。
「鼻の手術なら1週間、のどの手術でも手術から1週間だよ。ちょっと長くいすぎたんじゃない?」
いつも笑顔の先生です。
『そうはいわれても、呼吸はできないし、眠れないしで、大変だったんですよ』
心の中ではつぶやきます。でも、
「そうですね。でも、お陰様で無事退院することができました。ありがとうございました。これも先生のお陰です」
無難な答えになっていました。
「僕も、とても勉強になったよ。鼻中隔の矯正と扁桃腺の切除は同じ日にやっちゃいけないんだよね」
なんかしみじみ話されます。
「手術自体はどちらも簡単なんだけどね。手術の後があんなになるなんてね。辛かったよね」
「本当に辛かったですよ。一時はどうなるかと思いました」
私もしみじみ回想します。
「疲れているのに、横になることもできなかったですから」
「僕も始めての体験だったから、今後の参考になるよ。ありがとう」
「こちらこそ、どうもありがとうございました。これで仕事ができそうです」
実験台にされたような感じはありましたが、手術をしていただいたことには感謝しています。ありがとうございました。
「じゃあ、これ、紹介状。今度は職場の先生に見てもらってね」
紹介状を渡しながら、眼鏡の奥はにこやかです。
「きっと、この手術の方法をみたら、先方の先生は驚くだろうな。その時の状態を聞かせてよ。今回の手術は面白いと思うんだよね」
先生は独り言のようにいわれていました。
こうして、私の入院は終わりました。
2週間という短い期間ではありましたが、苦痛が凝縮されていました。
肉体的だけではなく、看護婦さんの言動など精神的にも傷んだこともありました。
こういった経験がその後の看護師としての仕事やカウンセラーとしてのしての仕事に生かされていると思います。
辛い経験でしたが、その経験が生きていると思います。
sent from W-ZERO3
TAO心理カウンセリング学院