マイナビ女子オープン本戦1回戦第5局、 頼本菜奈VS中倉宏美の
対局は、80手で後手の中倉宏美が勝ち準々決勝に駒を進めました。

先手、アマでただ一人本戦に勝ち上がった頼本菜菜、石田流
三間飛車、対する後手中倉宏美は4手目に4二玉と上がって
居飛車宣言。その後3一に潜って美濃か。対する先手も
3九に潜っての美濃。先手は浮き飛車から角を7七に上げたので、
後手も角を3三に上げて美濃から銀冠に移行します。

先手は2筋で歩の突き捨てから桂馬を1七に上げて2筋狙い。
後手は銀を上げ、さらには角頭を守る為に玉の顔面受け。
先手は銀をぶつけて桂馬を生かそうというところですが、
さすがに銀交換は不利なので後手はかわしますが、玉頭に
先手の銀が残ったままの恐い形。しかし1七に上げた桂馬が
生かせない先手もこの先が難しいところ。

遅れると桂馬がタダ取りされる先手は角道を開けて角交換。
銀のタダ捨てで角の打ち込み。これで香車を奪えば1筋が
受かりますが逃げられると角が浮いてしまって不利に
なってしまいます。

後手はここで角は相手にせず、結果的に前進している2筋の
歩を生かすための角打ちで攻める手順を選びました。先手は
後手の攻めを緩和するために後手の銀を呼び寄せて後手玉の
頭をむき出しにしてから香車を取ります。これで玉頭に直接
手裏剣が及ぶことに。

後手はしっかり玉の逃げ道を確保。一歩遅れて先手からの
香車打ち。予定通りに逃げる玉。香車で桂馬を取り、一旦
自玉を退避させてからの追撃の桂馬打ち。。しかし交換した
香車で挟撃に打ち込む後手。先手は歩が無いので逃げ道
封鎖されて先手も危うい状況。

後手の受けに利いている角をはずそうとする先手ですが、
かわして角を攻撃に参加させる後手。先手の持ち駒が
桂馬1枚だけなので質駒があるとはいえ、攻め崩すには
不十分。挟撃態勢から駒の補充もできる後手が優位に
立ったと言えるでしょう。

自陣が不利と見た先手頼本菜菜は駒交換をあきらめて
相手の持ち駒を増やさないように逃がしますが、その間、
攻め駒の桂馬をはずされ、ただちに逃げ道封鎖に使った
後手中倉宏美は確実に先手玉を寄せて行きました。