リコー杯女流王座戦二次予選、第6~8局は
今井絢VS山根ことみ戦は82手の短手数で後手の山根ことみが勝ち、
斉田晴子VS長谷川優貴戦は114手で後手の長谷川優貴が勝ち、
熊倉紫野VS中村真梨花戦は102手で後手の中村真梨花が勝ち、
それぞれ本戦に駒を進めました。

今井絢VS山根ことみ戦
奨励会6級に入会したばかりの先手今井絢居飛車で8筋の
歩を伸ばし、後手山根ことみは角を7三に上げた後4間飛車に。
両者美濃囲いから、先手は角を引いて7七に回します。

先手が銀冠に組み替えたところで駒の連携が取れていないと
見た後手が左から銀を押し上げて攻めを開始。先手は6筋の
歩をついたあと飛車を6筋に回します。しかし結果的には
これが中途半端な形となり、後手は3筋を歩で押さえ込み、
さらには桂馬交換から角切りで先手玉を上げた後、玉銀
両当たりの桂馬打ち。せっかく回った飛車が何の役にもたたず、
飛車先から攻め込まれます。

事実上、ここで勝負は決し、後手山根ことみにいいように攻められ、
先手今井絢は対処するので精一杯。上部を完全に押さえ込まれて
飛車交換からただちに飛車を打ち込まれていいところなく
寄せきられてしまいました。


斉田晴子VS長谷川優貴戦
先手斉田晴子、後手長谷川優貴、共に相三間飛車美濃。両者とも
角を端に移動してにらみ合います。
先に先手が7筋の歩の交換。後手が銀を上げたのに対し、先手は
桂馬を飛ばします。
再び7筋をついて桂馬交換を誘う先手に対し、後手は先手の金を
釣り上げ、銀を推し進めます。

後手が桂金交換を図ったのに対し、先手は交換して得た桂馬をすぐに使って後手の飛車を押さえながら中央突破を目指します。
斜めに利いている角を支えに、桂馬成り・歩成りを果たす先手。
対する後手は取られそうな桂馬を活用して先手陣を見出してから
飛車を回して飛車角交換。さらには先手玉の守り駒を攻めて、
斜めに睨んでいる角の撮り道を作りながら、持ち駒の角の
打ち込み場所を作ります。

後手陣は守りが堅く、まだまだ攻め込まれるのには時間が
かかりそう。対する先手陣は飛車金のみの守りで、いつでも後手の
角が成り込める状態。ここに来て形勢は逆転した模様です。
長考の後自陣飛車で守り切ろうとする先手斉田晴子。後手
長谷川優希は角成りを決行。これを先手は飛車と交換。さらには
交換したばかりの角打ちでもう一枚の馬も消そうとしますが、
守り一方。攻め込むチャンスは得られそうにもありません。

先手のぎりぎりの受けに後手は迷いながらも駒を増やして
攻めかかります。上部に味方駒が多いとは言え、玉の逃げ道が
ふさがれている間が勝負とみての一気の攻めの前に先手玉は
とうとう追い詰められてしまいました。


熊倉紫野VS中村真梨花戦
先手熊倉紫野居飛車に対し、後手中村真梨花四間飛車。後手は
ただちに一手損角替わり。先手矢倉、後手美濃に囲いが完成した
後に先後手とも角を貼って攻撃目標を定めます。狙いがはっきり
しているだけに、両者とも角を追い払います。

先手は2枚の銀を上げて攻撃の構え。しかしこれが玉の守りを
薄くする結果に。先手玉の玉頭ががらがらになってしまいました。
この機を逃さず後手は飛車が前進、角が先手玉正面の好位置を
捕らえます。

桂銀交換からさらに先手の銀が遠ざかり、好位置に歩を貼って
攻めの拠点が完成。飛車も成り込んで万事休す。
勝ちが見えてきた後手中村真梨花は安全を期して先手熊倉紫野の
端攻めを受け、余裕を持って勝ちきりを目指します。

先手は何とかして守り切ろうとしますが、すでに勝負は決しています。
落ち着いて対処する後手の前には何をやっても焼け石に水。
中村真梨花は抜けがないかどうかしっかり確認した後飛車切り。
じわじわと寄せてくる後手の攻撃に先手は数が足りないまま無念の
投了に追い込まれました。