加藤桃子女王の先勝で幕を開けたマイナビ女子オープン五番勝負第2局は、

104手で後手の室谷由紀が勝ち、対戦成績を1勝1敗のタイとしました。


先手加藤桃子居飛車に対し、後手室谷由紀は角道を止める中飛車に出ます。

囲いは先手がイビ穴模様(実際には潜るチャンスはありませんでしたが)、

後手が美濃。6筋で銀が上がってにらみ合うと、後手は飛車を4筋に替え、

対する先手は飛車を浮かせて4六を守ります。そこで後手が角を上げて飛車に

当てると先手は飛車を3六に。この飛車を狙って後手は飛車を3筋に移動。

先手飛車を目標にします。


先手は2筋の歩を突き捨てた後、後手角の頭の歩の交換で飛車が4筋に回り、

後手も飛車を回して受け、先手飛車は下段に落ち、後手からの叩きの歩に

2筋に回って突き捨てた2筋からの突入狙い。

いったんは角を引いて受ける後手ですが、先手が6六の銀を引いて角交換からの

飛車成り込みを狙ったのに対し、後手から角交換。桂馬をあげて先手の突入に

対して飛車をぶつける構えに。


先手はここで角打ちで揺さぶりをかけ、歩の打ち合い、角の打ち合い等激しい

駆け引きでお互い一歩も譲らない構え。どちらが先に相手陣に拠点を作れるかが

中盤の鍵となりました。


後手は歩の成り込みから銀との股間からの桂馬の成り込み。その間に先手は

香車を奪っての角の成り込み。先手は成桂の紐についている飛車を遮っての

成桂取りに行きますが、後手は飛車を下段に下げての馬取り。ただしこれは

先手からの飛車の成り込みが後手飛車に当たる想定内の織り込み済み。


しかし嫌な順があったのか、馬を取られる順を避けて飛車成りとする先手に

後手は角成りで取られそうだった成桂にひもをつけました。

飛車が使えた上に拠点までできた後手に対して、先手は馬の自由がなくなった

ために形勢に差が付いたかも。


先手は馬の活用を目指して後手の浮き駒の金に当てますが、後手は成桂で

銀を奪った後飛車馬交換。先手が一手損した形になりました。

後手は攻防の角打ちから一気に先手陣を崩す構え。必死で受ける先手、と状況は

1局目と似たような進行になります。攻めている室谷は今度こそ攻め損ないを

しないで寄せきりたいところでしょう。


2枚角を有効に攻めに活用する後手室谷由紀。対して飛車を手にしながらも

有効な守り駒を持たない先手加藤桃子は必死の守り。前局のように脅威の

粘りで持ちこたえられるか。後手は馬が先手陣奥に入り込み、角馬銀の

3枚で金銀香の先手の守り陣に襲いかかります。


数では対応できないと見た加藤は玉の早逃げ。しかし室谷はさらに駒を足して

確実な寄せを狙います。進退窮まった加藤は形作りにと攻めの飛車打ち。

しかしこれは詰めろにはなっていないため、室谷が間違えない限り、詰めろを

かけていけば先手玉を仕留められます。

先手の攻めが詰めろではないと読み切った後手は王手ではなく詰めろを

かけます。この慎重さが前局でも欲しかったところ。イベントでは室谷の方が

加藤に連勝しているとか。落ち着いた差し回しでタイトル戦初勝利を得ました。