坊君の学校には、野球部があります

そして応援団もあります

甲子園に向けた予選の季節になりました


それは観戦に行かないともったいないでしょう


7月の日曜日、曇り空の中、朝の家事もそこそこに野球場へ向かう。

すでに試合は始まっているのか応援の声や拍手、メガホンを叩く音などが聞こえる中、どこへ行ったらいいのやらとキョロキョロしながら観客席に出る。後方フェンスに張られた横断幕を見て、応援席にたどり着く。良かった、まだ1回表だ。


応援席の中心に密集するように生徒たちが座り、最前列に学生服を来た応援団が陣取る。

この蒸し暑い中、学生服姿は応援団のユニフォームだと理解するもののやはり異装であり、それだけで威圧感がある。そして凛々しくてかっこいい。先攻の相手校の応援席の方を向き腕を組みすっくと立っているのは団長さんなのか。2人いるからもう一人は副団長さんかな。

漢、という感じで頼もしい。


自校の攻撃になり、まずは団長が「学生注目」という応援に集まった人々を鼓舞するような掛け合いを伴う挨拶。そして校歌斉唱、エールを切る。

(フレー、フレー、〇〇みたいな声がけですね)

そこまでが一通りの流れで、その後試合の様子に応じて吹奏楽の演奏と共に応援のパターンに沿って攻撃の間応援は続く。

打者が打席に立った時

出塁の時

得点のチャンスが見えた時

得点したとき

それぞれパターンがあって、生徒の応援一団の動きや発声を見様見真似で一緒にやっているとだんだん楽しくなってくるのは不思議な感覚である。


ふと辺りを見回すと、応援時の振りの動きのキレが尋常じゃないグループがいた。応援が他のエリアよりはるかに気迫があり、しかし多くの生徒のように学生服や野球部のユニフォームではなく、学校行事のときに作る行事Tシャツで10人くらいで座っている。それも少々前のデザインのものを。

7回の攻撃になり、再び「学生注目」が始まった時のことである。

(学生注目は1回と7回の攻撃開始時点でやります)

団長の声がけに

「聞こえねえぞ〜!」

「もっと面白いこと言え〜!」

とその一団が容赦ないヤジを飛ばしてゆく。しかしダメ出しというよりは叱咤激励という感じで声の調子は温かい。


これは…もしかして応援団のOBグループかな?

それならばあの動きのキレの良さや、ただならぬ気迫に説明がつく。

この3年間そもそも試合がなかったり、試合の応援に行っても声出し禁止で静かに立って応援だったりと応援団にとっても不遇の期間で、ようやくこの夏声出し応援解禁になり、3年生の団員は最初で最後の声出し応援である。後輩の応援に駆けつけるのは毎年のことかもしれないけれど、今年は少し特別な気持ちがOB達にもあるのかな?と思ったり。

なんだか微笑ましくなる光景。


試合は中盤の2得点をしっかり守って初戦勝利。

応援、もう一度行けるだろうか。