42日目
ちゃかちゃんりんちゃんりん
皆様、金玉亭タヌ助でございます。
えー、本日もつまらない話をおもしろおかしく話す
時間がまいりました。
お時間が許しましたなら、最後までお付きあい下さいませ。
「やぁ、おはよう、ポン吉くん。」
「なんですかい、師匠、気持ち悪いな。
だいたい、師匠の口調が気持ち悪い時は
ヒトを小馬鹿にする前ブレなんすよね。」
「ポン吉、それはちょっと違う。
口調が気持ち悪い時に警戒すべき相手は
あたしだけじゃない、全ての人間に対して、だ。
選挙の時の候補者の口調の気持ち悪さなんざ
その最たるもんだってことよ。」
「はいはい、それはともかく
なんの話をしようとしてたんですかい。」
「お前が話しの腰を折るから、脱線しちまう。
で、
喫茶去、てのを知ってるか。」
「どっかの喫茶店の名前ですかい。」
「祇園には喫茶去て名前のラウンジがあるが
これは無学なものには紛らわしいな。」
「へえ、へえ、どうせあたしゃ無学です。
で
喫茶去てのはなんですかい。
時々、茶席の掛け軸なんぞに書いてありますよね。
茶を飲んだら去れ、てな意味なんですかね。
なんか妙な言葉だとは思ってたんですよ。」
「なんだ、一応、知ってるんじゃないか。
で、喫茶店の名前ですか、なんて聞くとこが
お前の嫌われるゆえんだな。
バカの振りをするなら徹底的にばかになれ、だな。
与太郎になりたけりゃ、自分の知識を捨てされ。
てことだな。
だからお前の演じる与太郎は小利口にみえちまう。
役者でもいい演技をしてる、なんて褒められるのは
まだまだ、てことだな。
役者にとって素のままで楽だったでしょう、
ていわれるのが最高の褒め言葉なわけだ。
ま
それはともかく、喫茶去だったな。
『喫茶去』
この言葉は次のような話にちなんでいます。
趙州禅師のところに二人の修行僧が来た。
師 : 前にもここに来たことがあるか?
僧一: 来たことがありません
師 : 喫茶去
もう一人の僧に趙州がたずねた。
師 : 前にもここに来たことがあるか?
僧二: 来たことがあります
師 : 喫茶去
院主が師に尋ねた。
院主: 前に来たことがない者に『喫茶去』とおっしゃり、前にも来たことがある者にも、『喫茶去』とおっしゃる。 なぜですか?
師 : 院主さん!
院主: はい。
師 : 喫茶去
以上だ、わかったか?」
「うーーーん。わかんね。おら、バカだからわかんね。」
「こらこら、いきなり与太郎になって、どうする。」
「でも西遊記に金閣だか銀閣だかが持ってた壺で
返事をすると吸い込まれちゃう、てのがありましたが
なんか、あれに似てますね。」
「まあ、壺に吸い込んじまったら、それは化け物。
偉い坊さんはその代わりに言葉をかけるわけだ。
まずは、茶を飲め。」
「なんか、その趙州禅師て
喫茶去て言いたかっただけじゃないんですか。
で、言ってみて、相手の反応を見て楽しむ。
よく落語家の名人が、若手の落語の批評で
『なんか、落語てもんを勘違いなすってますね』てなことを
言ってるのに似てる様な気がします。」
「あなたはなんにも解ってない。
てなことをテレビドラマでもおねえちゃんが
言ってた様だったが
多分、禅坊主やら茶道家やら落語家やらに
総スカンを食いそうな発言をする奴だな。」
「じゃぁ、喫茶去てのはどういう意味なんですか。」
「だから、茶を飲め、て意味だよ。」
「それは、さっきから聞いてます。
だから、言葉の裏で何を言いたいのか、と。」
「言っている本人にとっては意味はないんだ。
見たり聞いたりしている人間にとって意味があるから
禅語になるんだな。」
「だから、師匠の話は嫌なんだ。
結局、煙にまかれた様な結論しかくれない。」
「おまえさんは、試験で良い点とるのに最良の方法は
正解を暗記することだと思ってないか。
暗記した時点でそれは正解じゃないってことさね。」
「それじゃ、明日からもう落語は暗記しないで
感性でやっちまおっと。」
「禄に覚えもしねえやつがえらそうに。」
「師匠、師匠。どうどうどう。
最近、なんだか話が長い割に面白くないっすよ。」
「弟子ともども、落語家スランプ」
「高座でもスランプ状態を着物の色で解る様に
しとけばいいのにね。」
「ほんじゃ、明日の高座はあたしが灰色で
おまえさんは黒の着物にケッテー。」
とゆうところで
お時間もよろしいようですので
続きは、又の機会にという事で。
ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりん